[東京喰種]喰べたいけど喰べたくない。4[月山習]

153. ページ18

・



鏡を見てうなだれる。



「誰ですかこれは」


「Aくんです」


「……はあ」



自分でも思うけどこれ男。



どっからどう見ても男。




「じゃ、行くよ!」


「まじで?」


「当たり前じゃんそのために準備したんだから」


「…はーい」



江利の準備を待って、玄関に立つ。



「靴はこれで!!」



出されたブーツ。


……長くねぇか?



「何これ?」


「中に15センチのインヒール入ってるから」


「嘘だろそんなのあんの」



15センチっつったら余裕で170超えるんだけど。



こいつどんだけガチだよ……。




渋々ブーツを履く。



カシャ、とシャッター音。



「おい」


「行こうか!」


「何事もなかったかのようにすんじゃねーぞ」



普通に写真撮るな。







早く終われよこの地獄。



歩きながら考える。




「何も言わずに頷いてればいいからね」


「りょー」


「声出すなら低くしてね」


「りょー」



適当に聞き流す。


つーか歩きづらい。15センチとか高い。



「ここ」



そう言って手で示したのは何度か言ったことのあるカフェ。


あー……。こっちのコーヒー微妙なんだよな…。




まぁいい。飲めるだけマシ。



「…行くよ」


「さっさと断れっつーの」




こんなめんどくさいことはもうやだ。


早く帰りたい。眠い。




「……あっちの、人」



その方向に目を向ける。


顔…は、普通。


そこそこいいんじゃね?よくわからんけど。




でもこういう奴が厄介だったりするんだよな。




・

154.→←152.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す