[東京喰種]喰べたいけど喰べたくない。4[月山習]

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「大事なんでしょ?」


「……うん」



江利がにっこり笑い、あたしの手を引く。



「こんなとこで立ち話もなんですので」


「…帰す気ないだろ」


「ばれた?」



何年一緒にいると思ってるんですか。


それにがっつり手掴んでるし。



「あー……食べれないんだっけ」


「人間の食い物はな」


「じゃあいいや。あたしが食べよ」



自由人か。


目の前で堂々とドーナツを食いだした。



もう見慣れてるけどね。



「なんで食べれないの?」


「まずいから」


「これが?」


「うん」


「ありえない」


「味覚が違うんだよ」



あたしたちからすると、そんなもんを平気で食える方がありえない。



「…ん?でもA、たまに食べてたじゃん」


「そのあとすぐ吐いてる」



顔を顰めた江利。



「人が物食べてるのにそういうこと言わないで」



あ、言っちゃまずかったの?


…だって本当のことだし。



「なんでコーヒーは飲めるの?」


「…さぁ?」


「わかんないの?」


「うん。コーヒーだけは美味い」


「ふーん……」



いつの間にかあたしへの質問となった江利との会話。



「そんなにマスク大事なの?」


「万が一捜査官に会ったら戦わなくちゃだから。顔見られたらやばいし」


「そうなんだー」


「あたしのは余計大事」


「なんで?」


「父さんの形見」


「…お父さんも捜査官に?」


「いや?父さんは他の喰種に」



一瞬、その喰種の顔が頭をかすめる。



「ね、ハーフって珍しいんでしょ?」


「うん」


「どうやってハーフって見分けつくの?」



どうやって……。


少し考え込む。



「隻眼…とかじゃないかな」


「隻眼……。片目?」


「そう」


「Aも?」


「うん」



見せて、と言われて赫眼になる。




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