[東京喰種]喰べたいけど喰べたくない。3[月山習]

99. ページ9

・



携帯が震えて、トーカからの着信を知らせる。



「……はい」


『あ、寝てた?』


「……うん。寝てた」



間違いではない。


寝てたし。



『どう?』


「だるい」


『家行こうか?』


「え!?いや、いいよ、大丈夫!心配すんな!もう治るから!」


『あ、そっか。月山いるんだ』


「うん、そう……ってち、ちちち違うし!いないし!」


『嘘つくの下手くそだな』



しょうがないだろ正直者なんだよ……。



『つーか月山が家まで運んだんだよ』


「…あぁ、やっぱり」


『明日は一応休んどけよ。店長にも言ったから』


「まじで!さすがトーカだな!」


『治りかけだからってイチャつくなよ?』


「……はい」



大人しく返事をする。


ついさっきまでしてましたなんて言えるか。



『じゃ、ばいばい』


「おー。ありがとな」



トーカとの通話を切った。


……あぁ、なんか静かだと思ったら寝てるんだ。



顔だけは整ってるからむかつく。


落書きしてやりたい。


寝顔を見ながらそう思う。



腹立つわこの野郎。



紫色の髪を触るとさらっさら。


……女子か。



くるくると指に巻きつけて遊ぶ。


そのまま抜こうかと思ったけどやめといた。さすがにそれは。




あ、熱どうなったかな。


体温計を取って測ってみる。



よし、下がった…と思う。



「……ひっ」



背後から抱きしめられて悲鳴を上げた。


びびらせんなよまじで……。



冷たい手が首元から入ってくる。



「熱いね」


「病人に手出すなっつってんだろ変態」


「明日には治るよ」


「……治りたくねー」



なんかされそう。




・

100.→←98.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す