[東京喰種]喰べたいけど喰べたくない。3[月山習]

104. ページ14

・



……終わった。


ようやく終わった。忙しすぎて死ぬかと思った。死なないけど。



「んーっ……」



校内から出て伸びをする。


片付けも全部終わって衣装も脱いだ。今は普通の私服。



……よし、帰ろ。



歩き出した途端ポケットが震えた。



タイミングがタイミングなだけに体が跳ねた。びびらせんなよ…ったく。



再び歩き始めて通話開始。



「はい」


『今どこだい?』


「学校。今から帰る」


『……迎えに行くよ』


「え?なんで。大丈夫」


『理由はあとで話すから待っててくれ』



……いつもと声色が違う。



「……わかった。じゃあ門で待ってる」



門まで行って携帯をいじる。


暇だなー。



数分経って、待ち人来たる。



「行こうか」


「うん。……で、理由は」


「この近くに捜査官がいたらしくてね」


「……それは…あれだな。一人じゃねー方がいいな」


「だろう?」



白鳩か……。


なるべく会いたくねーな。人間と戦うのめんどくさいし。



あたしは白鳩とあまり戦ったことがない。


……人間はすぐ死んじゃうから戦いたくない。



人の気配に顔を上げる。


慌てて習を引っ張って路地裏に隠れた。



「……なんだ、ただの人間か」


「……」


「習?」



見上げると影が近づいてきた。


耳元にかかる熱い息。



……いや待てよ。熱すぎねーか?



ぺちっと顔に手を当てるとまるでこの間のあたしのよう。



うつった……。これ絶対うつってる……。



「…ちっ。おい、起きてるか?」



声をかけながら軽く顔を叩く。


起きてなかったらあたしが運ぶことに……。



だがしかし返事はない。


嘘だろ。まじかよ。



「……」



しょうがねぇ、運ぶか。


こんくらいならいける。



習を肩に担いで歩き出す。幸い家はすぐそこ。




・

105.→←103.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す