【m/ss/p】うそつきももんが【FB夢】

2-3 ページ8

「ゲームの解説的なものでしたっけ？」
慣れないうそをついた口は止まらずに、
わざと逸れた返答をしてしまった。

FPS見るの好きでゲーム実況知らないは無理があったかな……
いやでもFPS好きなのもにわかだから
プレイ動画みたいな言葉なら馴染みあるけど、
実況でピンとくることはないかなって……

返事をしてくれるまで変な間があって、
もう1回FBさんを見て祈るように瞬きをした。


「そんな感じですかね！
ゲームしながらしゃべる配信とか僕よく見てるんで、
Aさんも知ってるのかなと思っちゃって」

するとFBさんもぱっと口角を上げて、
ワハハハハ！とさっきより空っぽに笑った。

当たり前だけど、
それ以上ゲーム実況の話はしなかった。




これはもう察しがついちゃっただろうなあ、
うそつくの苦手なんだよなあ、悪いことしたなあと思っていると、
美味しそうな焼きたてのピザを店員さんが持ってきてくれて
小麦とチーズの香ばしい匂いが広がり、一気に場が元気になる。

「ピザだ！誰こんな罪なの頼んだの！ピザはあかんよ〜〜！」
「でも好きでしょ」
「好きだからダメなんだって！」

すっかり酔ったFBさんは上機嫌で、
意外と日本酒にもあうのよね。と大きなひとりごとをつぶやきながらお酒をそそぎ、
山田さんからの軽口にニコニコと返し
今日1番楽しそうで ピザを頼んでよかった〜！なんて思う。

このピザもFBさんの影響で好きになったもので、
FBさんはダイエット中とはいいつつ、
もしかしたら喜んでくれるかな なんて気持ちもあって頼んだから、つい私の心もはずんでしまう。


先程まで何気なく警戒していたFBさんも、
罪悪感で上手く話せなかった私も、
ピザを取り分けて 美味しいお酒をもう一度口に含めば

「ピザ好きなんですか？」なんて
既に知ってることを聞いてしまうくらいには
お酒と満腹感で緊張の糸がだいぶ解けていた。

2-4→←ゲーム実況って知ってる？

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す