【m/ss/p】うそつきももんが【FB夢】

2 ページ4

「いい人」を紹介してもらうために
指定された個室の居酒屋さんは、
普段は行かない落ち着いた雰囲気で
少しだけ緊張する。

山田さんとその人は
待ち合わせの時間より先に入っているらしく、

背の低い戸をくぐって 靴を脱ぎ、
出迎えてくれたお店の人に
名前を伝えて案内してもらう。




いい人とは聞いてるけど、
優しい人だといいな。

妙に長い廊下を歩いて個室まで向かう時、
そんなことを思った。


音楽とゲームに理解があって、
オタク趣味とかも気にしない人。

できれば私の趣味を、推しのことを
肯定的に見てくれる人がいいな。

面白いね、素敵な人だね、楽しそうだね、
っていってくれたらいいな。

分かってくれなくてもいい、
楽しんでることを受け止めてくれたらいいな。


これから会う
「お付き合い的な意味で」
紹介される人を想像しながら、
店員さんがノックをして引き戸を開けた。


「すみません、おまたせしました」


「…へ？女の子？」



遅れてきたことに頭を下げると同時に
聞こえた気の抜けた声は
ものすごく聞き覚えがあって、

でもその場で絶対聞けるような声じゃなくて、

でも絶対聞き間違えることなんかなくて、


自分の耳が聞き間違わないでいて欲しい気持ちと、
こんな場所にいるはずがなくて
聞き間違っていて欲しい気持ちが半分半分で、


ほぼほぼ反射で顔を上げると、


そこには10年以上ずっと応援してきた


私が社会の歯車になる理由、
元気の源、
憧れ、
一番の推し。




大好きなMSSPの
FB777さんに

よくよく似た人がいた。




__________________

2-1→←1-2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す