【実.況.者】その恋心は買取不可です【uszw】

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結局、その後の仕事に身は入らず、そんな自分にも嫌気がさして、いつもより少し早めに店を閉めた。



店仕舞いをサッと終え、自室に戻ってあれやこれや調べた結果、どうやらゲーム実況とは昔からあるコンテンツのようだ。
レトルトさんもかれこれ10年以上活動されている方らしい。

そして、もうひとつ分かったのは、ゲームソフトを購入した彼…うっしーこと牛沢さんも、香坂さんと同じくゲーム実況をしているということ。


つまり、私は超有名人達を目の前に接客をしていたわけで…自分の接客態度に少し不安を覚えてしまう。



『意外と知らないものなんだなぁ…』



少し古びた和室でそんな声が響く。
私自身、幼い頃からレトロゲームに触れる機会は多かったし、だからこそゲームは大好きだった。

それは今でも変わらず、自室には昔ながらの家庭用ゲーム機が置いてあるし、最近は多少捻出できる娯楽費を使って最新のゲームも揃え始めている。



しかし、ゲーム実況については全く知識がない。

スマートフォンに映し出される“『絶体絶命都市』をクリアするまで実況プレイ#1【レトルト・牛沢】”のサムネイルを見ながら、好奇心に背中を押され、彼らの動画をタップした。



「絶体絶命都市をクリアまで実況プレイ！いやぁ…絶対絶命都市が公式放送で出来るとは、嬉しいです。皆さんこんにちはぁ、レトルトです。よろしくお願いしまーす」



物が溢れる部屋の中で、サングラスとマスクを着けた香…レトルトさんが画面に映し出される。
数時間前まで話していたこともあり、なんだか変な感じがした。



「一応ね。既プレイの方も来ているということで、じゃあ、絶体絶命になっても助けてくれるゲスト…。絶体絶命な牛沢さんです！」
「はぁい！人生絶体絶命の牛沢です！」



画面が切り替わり、眼鏡をかけた牛沢さんの姿が映る。右側の口角だけが少し釣り上がる笑い方に懐かしさを思い出した。

そういえば私が中学生の頃、よくここの店に来ていた高校生に似ている気がしなくもない。


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作者です。沢山の評価、お気に入りありがとうございます。
更新頻度について明記をしておりませんでしたが、今後は毎週火曜日に3話ずつの更新となります。

今後ともどうぞよろしくお願い致します。

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