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『はい。お待ちしております』
私は香坂さんから「今から向かいます」という返答をいただくと受話器を置いて、依然として閑古鳥が鳴く店内を眺めた。
そろそろ本格的に客を呼び込む秘策が必要かもしれない…スタンプカードとかクジ引きとか…。
祖父の大切にしてきたお店を守りたいなぁ…とは思いつつ全く案が浮かばない頭を悩ませていた所で、ふと先程まで気になっていたことを思い出す。
そう言えば香坂さんのあだ名って珍しかったよね。
レトルト、と呼ばれた彼のことだ。
もしかしたらどっかのレトルト食品会社の社長とか、従業員とか、はたまたレト…レトルトカレーの開発者の可能性もあるかも。
店の呼び込み案を考えていたはずなのに、ほんの少しの好奇心に負けてしまった私は、勤務中にもかかわらずスマートフォンを開いて検索欄にレトルトと打ち込んだ。
『ゲーム実況…？』
私の画面に出てきたものは、予想を遥かに上回る内容だった。
必死に頭の中を整理しようとするが、画面をスクロールする指が止まらない。
どうやらレトルトと呼ばれた彼は、それはそれはもう有名人らしく、YouTubeやニコニコ動画でゲームを実況プレイする動画をあげている方らしい。
顔を隠しているとは言うものの、レトルトと呼ばれる男性が写っている写真はどう見ても香坂さんだった。
『すご…ｯ』と困惑と好奇心が混ざった声が唇から漏れてしまう。
それと同時に店の扉が開いた。
不意をつかれた私は驚き、バッと店の入口に視線を動かす。
「すみません。お待たせしました」
そこに現れたのは香坂さんだった。
少し急いだのか、軽く息を整えるように小さく笑いこちらへやってくる。
普段ならそのまま対応できるのだが、先程の衝撃が大きすぎて固まっていた私は、今更右手に持っていたスマートフォンに気づいた。
『あ、いえ…大丈夫ですよ！バッチリ査定出来ました』
私は瞬時にスマートフォンを隠し、何食わぬ顔でゲームソフトの内訳とともに査定金額をお伝えして香坂さんに渡す。
お客さんの生活を勝手に覗いてしまったような後ろめたさを感じながら、私は店をあとにする香坂さんに頭を下げた。
『香坂さんって凄い人だったんだ…』
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花音(プロフ) - 初めまして♪凄く面白かったです( ≧∀≦)ノ続きがとても気になりますがまったり待ってます(*´-`)これからも応援してます(^○^) (2022年7月6日 12時) (
レス) @page17 id: c9954f1e86 (このIDを非表示/違反報告)
ﾎﾟﾙｷ(プロフ) - わわさん» コメントありがとうございます！できるだけリアル感を求めてかいているので、嬉しいです…！現在作成の時間がなく、更新ができておりませんが今後ともよろしくお願いします！ (2022年7月2日 2時) (レス) id: e15fb03a9c (このIDを非表示/違反報告)
わわ - 主人公常識的で好きです... (2022年6月24日 6時) (レス) @page17 id: a33ba47173 (このIDを非表示/違反報告)
ﾎﾟﾙｷ(プロフ) - 碧宮さん» コメントありがとうございます！お返事が遅れてしまい申し訳ございません！！これからもどうぞよろしくお願いします！ (2022年6月8日 22時) (レス) id: e15fb03a9c (このIDを非表示/違反報告)
碧宮(プロフ) - コメント失礼します。物語の空気感が伝わってくる文章でとても好きです、🐮さんらしい言葉遣いも特徴捉えててすごい…！応援してます！ (2022年6月1日 17時) (レス) id: 3294c17cc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾎﾟﾙｷ | 作成日時：2022年4月24日 23時
