今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:5,344 hit
小|中|大
page 4 ページ4
彼は、猫が好きだった。
買い物の帰り道に猫を見かけると、必ず寄って行って猫を撫でていた。
「よしよし、いい子だね」
そう言って彼が撫でても、不思議と猫は逃げなかった。
あなたの猫を撫でている時の笑顔が、とても柔らかくて。
野良猫に嫉妬してしまうくらい、私はあの笑顔が好きでした。
そして彼は、ゲームが好きだった。
私はどうやっても勝てなくて、いつだって彼にボロボロに負かされていた。
自慢げに笑う彼が、いつもどこか憎たらしくて誇らしくて。
…けれどその日は、私がおかしいくらいに好調で。
どうしたんだろう、そう思ってコンティニューメニューを開いてゲームを中断した。
隣を見ながら、声をかける。
「ねぇ彼方、どうし…」
私はそこで、言葉を失った。
頭の中が、真っ白になった。
彼は、彼方は。
顔面蒼白になって、倒れていた。
ゲームのコンティニュー画面が不安げに揺れて、切れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
29人がお気に入り
29人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ