氷の贈り物 ページ9
you side
ホムラが居なくなった病室は
やけに静かに感じた。
-コンコン
「はい、」
ドアがノックされ
返事をして開いたドア。
「レイ先生、」
レ「先程魚が私のところに血相を変えて来た」
「ほ、ホムラですか…？」
レ「“僕の事を思い出した”と言っていた」
「あ…はい、そうなんです。ホムラと色々話してたら思い出したんです！！」
レ「ほぉ…それは実に喜ばしい事だな。…だが、」
「ホムラが言ってたんです。レイ先生とセイヤさん、2人は私に対して思っている事は一緒だって」
レ「魚にしては的を得た事を言っているな…」
「あの…その魚って呼ぶのは…」
レ「どうしてそう思う」
「え？」
レ「ヤツは…ホムラはAの特別だからか？」
「ど、どういう意味ですか…？」
レ「……いや、なんでもない。午後からもう1人面会があるぞ」
「もう1人、ですか？」
レ「ホムラが話していただろう、ウサギだ。ウサギ」
「ウサギ…あ、セイヤさん？」
レ「まぁ…早くいろんな事を思い出すといいな」
「…、？」
レイ先生は私の手のひらに
雪と氷で作られた小さなアザラシを作った。
「れ、レイ先生これって…」
レ「面会までゆっくりしているといい」
レイ先生はそう言って病室を出て行った。
このアザラシ…見たことある気がする…
なんだろう
ホムラの時と同じ…
もしかして…何かを思い出せる、？
私はレイ先生がくれたアザラシを見つめ
目を閉じた。
すると頭に浮かんで来たのは
レイ先生と私が一緒に歩いている場面。
ー
レ「A、明日の定期診察忘れるなよ？」
「わかってるよー！ちゃんと行くってば！」
レ「お前の嫌いな注射、2本あるからな」
「げっ…」
レ「真空ハンターとしての任務をしっかり遂行するために必要な健診だ。その注射も必要なものだ」
「わかっ…てる、けど…」
レ「健診が終わったら、食事にでも行こう」
「え？」
レ「お前が行きたい店で構わない。食事で釣るワケではないが…少しでも頑張れる何かがあればいいかと思ってな」
「ありがとう、レイ。頑張るよ」
ー
「れ、レイ…っ、」
私は気がついたら記憶と共に
涙が溢れたのを感じた。
・
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作者名：みなと | 作成日時：2024年2月20日 22時
