【歌い手】Is she loved by…？

十二話。 ページ14

「…俺は、……Aを信じる」

小さく呟くように言ったのはなるせちゃん。
あらきさんは驚いたようになるせちゃんを見る。
そうだろう、あらきさんは花ちゃん派なのだから。多分、なるせちゃんも自分と同じだと信じていたのだ。

「…わし、…は。……選べない。だって、！……どっちも、わしのエンジェルやろ…？」

96ちゃんが苦しそうな笑顔で言う。
最終的には、私の味方をしてくれたのはまふくんとなるせちゃんの二人だけだった。

坂田さんは睨むようにこちらを見ていた。
…何か、彼女に言われたのだろうか。私に何の恨みがあるのだろうか。
…もし、坂田さんが彼女に好意を持ってるとしたら…この睨むような目付きは納得できる。

「坂田、ダメ。…俺達はAちゃんがやったという現場を直に見てないんだよ。一旦冷静に、」

「…ご、ごめんなさい…」

ここにそらるさんがいてくれてよかった。
多分、いなかったら私は…いや、考えたくもない。吐き気がしてくる。

「…ごめんなさい、そらるさん。…でも、私は本当に、やってないっ…から、」

「…うん、そうだと信じたいよ、俺も」

そらるさんは眉を下げて、こちらに微笑む。

「…そういえば。…花さんはまふくんのファンでしょ？」

なるせちゃんが唐突にそう言い出す。
それにはみんなも驚いたようで、どういうこと？と首をかしげる。

「…さっきのボイスレコーダー。…これは単なる憶測だけど、まふくんにAが近づくから離れるように仕組んだ…って俺は思ってる。」

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