幸せな家族のはなし３ (ページ31)

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［７－４］ページ31

雅紀side

「よっしゃあ！！！」

「うわぁぁぁー！もうなんでぇぇー！」

リビングに広がる智にぃの歓喜の声と
まだ1枚カードを持ったまま叫ぶ俺の悲鳴。

未だ頭が混乱する結果に
俺は両手で顔を覆った。

白熱したババ抜きの結果は見ての通り。

1位は恐るべし洞察力を発揮して
次々と癖を見つけ、見破った和。

その後、一度智にぃからジョーカーを引いたものの
翔にぃの不運に助けられた潤が2位。

それから一発目に俺がジョーカーを引いて
運良く智にぃからペアを作れた翔にぃが3位。

流れるように叔父さんが4位と抜けて、
最後は智にぃと一騎打ちだったけれど……

お互いババを引き続けるという
不運を繰り返すこと8回。

長い、長い一騎打ちは、
何かが閃いた智にぃの一手によって終了した。

「いやぁ、お前ら長いよ！」

「つっかれたぁ……」

「あーおもしろっ……げほっ、あふ、んははっ」

俺達の熾烈な戦いをツマミのように
お酒を飲んでいた叔父さんがケラケラ笑う。

和と潤の双子ちゃんはもういいよと
笑いながら同じように疲れていて。

翔にぃは笑い死ぬんじゃないかってくらい
お腹を抱えて涙目で悶絶中。

「くっそぉ……なんでだぁ」

いくら家族とするカードゲームだからといって
負けるのは悔しい。

けれどどうしてもババ抜きが弱い方な俺は
滲んでしまう視界に堪えることしかなく。

教えてくれよジョーカーさん……

どうして君は俺のところばっかりくるの？

もういっそのことお祈りとかしてみようか？

今度ババ抜きするときは
神社にでも行こうかな……

「はーい！
じゃあ、これ以上雅紀がジョーカー見てたら
泣いちゃうからもうおしまいね！」

「はーい」

智にぃが笑いながらカードを集め始める。

集まったカードの束は持ち主の和の手に渡り、
一番上へジョーカーをそっと置いた。