幸せな家族のはなし３ (ページ4)

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和也side

いつもの見慣れた風景が変わり、
車で過ごすこと約2時間半。

途中パーキングエリアに寄って休憩をしながら
進むその先は見たこともない場所が広がる。

それでも俺達のテンションは変わることはなくて
起きた翔にぃが突然のイントロドンを始めたから
車内はさらに盛り上がっていた。

そうやって景色が流れ、
だいたい30分くらい経ったとき。

「えっ？」

合計約3時間の車移動、
その末に見つけた、恐らく目的地の場所。

「今回あれ？！」

カーナビと見比べていた俺は、その場所こそが
目的地だと気付いた瞬間、思わず声を上げた。

そしてその声にみんなが反応して
窓の外を探し始めたから、
俺は答えるように目的地へと指をさす。

周りには誰もいない、建物も少ない。

だから信じ難くとも俺達が向かっている場所は
そこしかなくて唖然としてしまう。

「えぇっ、ここ？
これ貸別荘じゃない？！」

「うわ、うわっ、これマジで広いな！」

「ほんとだ。
相変わらず派手だなぁ」

「うひゃー！早く車止めよー！」

驚く潤と翔にぃ、何故か感心してる智にぃと
血管が切れそうなくらい興奮してる雅紀にぃ。

それぞれの反応は様々だけど
明らかに俺達が思っていた、遊んで1泊しよー♪
みたいなノリで行く場所じゃないのは確かで。

だって……ここ、日本よ……？

そういえば数年前。

ハワイでここと似たような貸別荘を会場にして
有名なアイドルが楽しげにはしゃいでた
ゴールデン番組を見たことがある気がする。

うろ覚えな記憶だけど確かにその場所とここは
酷似していて、大きな違いがあるならば番組より
こっちがほんの少しだけ小さいだけだ。

それでも俺らと合わせて6人が使うとすれば
要らないほど、相当広いもので。

カーナビを見れば車で30分ほど走らせれば
必要なものが買える大型スーパーもある。

「いーやぁ……これは凄いな……」

俺はそうポツンと呟いたあと、カーナビを閉じて
またもう一度、外の貸別荘へと目を向けた。

「これ番長停めしていい？もういいよね！
はーいここに番長停めでいきまーす！

よいしょー！お疲れ様でしたー！」

「ん。雅紀、ありがとう。笑」

とうとう我慢出来なくなった雅紀にぃは
広い駐車場へ車をバックで決めて
停車してからシートベルトを勢いよく外す。

それに続くように俺も車から降りれば
外は昼を過ぎているからか日差しも強くて
ふんわり流れた風から海の匂いがした。