幸せな家族のはなし２ (ページ31)

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［４］目の前の脳震盪(五男) ページ31

潤side

「じゅーんっ」

「おわっ？！」

午後から練習試合を控える土曜日。

今は午前練習を終えて、
昼ごはんも食べ終えた頃で。

仲間と暑い暑いなんて話している最中に
突然声をかけられ、後ろから重みが加わる。

その重みと首元の冷たい感触に驚いて
振り返れば、まぁ爽やかな笑顔で
ドヤっている和の姿。

「びっ、くりした……え、和がなんでいんの？
ってか俺汗臭いから離れた方が」

「驚かそうかな～って♪
大丈夫、青春してんな～って匂いだから」

「青春？いやなにそれ」

「ミントの匂いする」

「あー着替えてスプレー振った」

「やっぱり、うん。なら大丈夫♪」

そう言って特段気にすることもなく
スキンシップを止めない和に
仲間の奴らは「仲良いな～」って苦笑い。

クラスメイトでもある奴は「暑苦しい」って
言うだけ、見慣れた光景を気にしてもないけど。

にしても。

「和～、そろそろ離れて……暑いわ……」

練習が終わってようやく涼んできた頃、
いくら和でも人の温度に当てられるのはキツい。

「もー仕方ないなあ。
じゃあ隣にすわりますぅ」

案外和も暑かったのか、
パッと腕を解いて俺の座るベンチの隣へ。

ようやく見えた和は夏用の体操服にサンダル、
それと首元にクールマフラーを巻いていた。

さっき首に当たった冷たい正体はこれか。

「で。なんで休みなのに
わざわざ和は学校来たわけ？」

「ん？潤の応援ですよ？」

「そんなわけないだろ。
基本外に出たがらないくせに」

「んふっ。ほんとだってばぁ～。
まあ、月曜に提出しなきゃいけない
プリントを取りに来たのもある」

「あー、昨日智にぃと言い合ってたやつか」

カバンに入れられたプリントを覗けば
確かに昨日和が忘れたと言ってたやつだ。

そういやあの時智にぃに明日取ってこいって
言われて渋ってた記憶も蘇る。

和は「まだ期限もあるのにねー」なんて
顔を少しピンクにしてぶーぶー言い始めた。