春霞３【宮地清志】

捉えた背中(宮地side） ページ20

竹内 「お疲れ様ー！さすがだねっ！」




試合が終わった後・・




竹内さんがそう声をかけてきた。




ﾓﾌﾞ 「もちっすよ！さぁ、竹内さん、今日はめっちゃ飲めますよ！(部長のおごりで)」




そんな話を何処か遠くで聞いてた。




高尾 「・・宮地さん、何してるんすか？」




・・何言ってんだ高尾は




宮地 「何してるってお前・・試合終わったばっかじゃねーか！何言ってんだ、轢くぞ」




そんな俺を・・




厳しい目で見つめた高尾。




宮地 「だから何なんだよっ「こんな所で何やってんだよっ！宮地さん！さっさと行けよ！」




辺りに高尾の声が響いた。




高尾 「早く行けよ宮地さん！何年Aさんの事待ってたんすか？
どっか行っちまったAさんを、またただ黙って待つつもりっすか！？
そんな宮地さんもう見たくねーよっ！」




はぁ・・




言いたい放題言いやがって・・




宮地 「高尾・・お前、その早とちりなんとかしろ。埋めんぞ」




高尾 「み・・やじ・・さん？」




チラリとAがいた方を見ると・・




足早に会場を出ていくAの後ろ姿が見えた。




ただ黙って待つだと・・？




ありえねーよ。




もう何年も待ったんだ。




これ以上待てっかよ・・




宮地 「高尾・・ちょっと行ってくるわ」




そう言った俺を見て・・




高尾がすげー嬉しそうに笑った。




高尾 「了解っす！なぁ、真ちゃん」




緑間 「ああ・・さっさと行くのだよ、宮地さん」




大坪も岡村も緑間も高尾も・・




皆が俺の背中を押してくれた。




竹内 「宮地君っ！」




行くなと言わんばかりに俺の腕を掴んだ竹内さん・・




宮地 「・・すみません」




俺は首を横に振ってその手をそっと離した。




宮地 「行かなきゃいけねーんすよ・・」




あいつの事だ・・




早くここから消えようとするはずだ。




宮地 「タクシー拾う気か！？」




一番早くタクシー拾える場所は・・




宮地 「・・いたっ！」




小走りに大通りへと出ようとしているA・・




宮地 「Aっ！」




思わず大声で叫んだ俺の声に・・




ビクりと体を揺らして立ち止まったA。




宮地 「逃げんなっ！そこから動くなよ！」




ああ・・




なんなんだよ・・




すぐそこに見えるAが・・




すげー遠くに感じる・・




もつれそうになる足をなんとか前に出して・・




俺は遂にAの背中を捉えた。

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