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「は…っ 着いたよ、A」



ハンジさんは私をベンチに降ろし、てきぱきと手当する。
こんなこともあろうかと!
と、鞄から絆創膏が出てきたときは思わず面食らってしまった。



「ひとまずこれでいいと思うけど…」



口を一直線に結んだ彼女は呟く。
帰りはもちろんおぶっていく、と心配そうに見上げられ、
押さえこんできたものが今にも堰を切って流れ出てしまう。


無意識に唇を噛む。
…だめ、限界だ。




「ハンジさん」


「ん?」



優しく笑いかけるハンジさん。
恋人になる前は、こんな顔をするなんて知らなかった。



「…いつも、貴方は格好いいです。
苦しくなってしまうくらい。
感謝も、大好きも、じょうずに言えなくてごめんなさい…!」



泡のように言葉が生まれる。
いつもの羞恥は感じない。
わかってほしくて、伝わってほしくて、私の想いが貴方の枷であってほしかった。


どこにも行かないで。



「…きっと離れない」



ハンジさんは立ちあがり、私は目を見開いた。
心を読まれているような錯覚に陥る。



「私の何が不安がらせているのかはわからないけど…。
あなた以外の人と一緒になることはあり得ない。断言するよ。」


「…っ」



違うんです。
勝手な自己嫌悪で雁字搦めになっているだけ。



「口下手で正直なAが好きだよ。分かってるだろ?」


「…は、い」



ハンジさんが私の右手を包み込む。
その力強さに、容易く安心しきってしまった。


それはおまじないをかけるときの神聖な気持ちに似ていて。
私は祈るように空を見上げる。


瞬間、心臓に響く音とともに花火が打ちあがった。
始まったね、と嬉しそうな声色。
触れるあたたかな指。
肌に反射する色彩。




「綺麗…」



ぜんぶ私のものだ。
きっと、一生。

バスルーム・ラブ 【分隊長×ハンジ班夢主】→←3



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設定タグ:進撃の巨人 , ハンジ , ハンジ・ゾエ   
作品ジャンル:アニメ
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匿名名無し - 綺麗な文章で読みやすかったです。新作楽しみにしています (2021年5月5日 21時) (レス) id: 9083184134 (このIDを非表示/違反報告)
べりる(プロフ) - いんこぷりんさん» 私も!いんこぷりんさんが大好きです!!こちらこそ応援してます、今度は私がいんこぷりんさんの作品にコメントしに行っちゃいますね(..*) (2020年12月2日 17時) (レス) id: d7350d4092 (このIDを非表示/違反報告)
いんこぷりん(プロフ) - べりるさん» お互い強く生きていきたいですね…!わー!そうなんですか!キュンキュンして頂きありがとうございます!(感涙)本当にべりるさん大好きです…!これからも応援してます!(*^^*) (2020年12月1日 21時) (レス) id: a01a78f710 (このIDを非表示/違反報告)
べりる(プロフ) - いんこぷりんさん» う〜〜〜温かいお言葉ありがとうございます…染み渡ります…TT いんこぷりんさんもよくぞご無事で!!(?)ずっといんこぷりんさんの作品拝見してます。どんなネタでもキュンキュンで、最っ高です…。私も久しぶりにお話しできてうれしいです! (2020年11月30日 20時) (レス) id: d7350d4092 (このIDを非表示/違反報告)
いんこぷりん(プロフ) - やっぱりべりるさんの作品は本当に最高です!私も本誌の展開でかなり落ち込んで泣いたりしてました…。なのでべりるさんの事もとても心配していました。久しぶりにお見かけ出来て良かったです!嬉しいです! (2020年11月30日 10時) (レス) id: aafc5c7127 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:べりる | 作成日時:2020年5月4日 16時

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