三十話「物騒な街なんです」 ページ31
「で、なんなんですか?マフィアって」
太宰さんのことを避けつつ、国木田さんに聞いてみる。
何故か私に後ろから抱きついてくる太宰さん。
私は抱き枕かよ。
「尤も、他に呼びようがないからそう読んでるだけだけどね」
頭上から声が聞こえる。
上を見上げると太宰さんと目があった。
にっこりと笑う太宰さん。
いい加減邪魔だから退いてほしい。
「港を縄張りにする凶悪なポート・マフィアの狗だ。…名は芥川」
国木田さんが説明してくれた。
ポート・マフィア?
芥川?
いぬ?
生まれて初めて聞く単語に少し命の危険を感じてしまった。
「マフィア自体が黒社会の暗部のさらに影のような危険な連中だが、
その男は探偵社でも手に負えん」
「何故…危険なのですか?」
お兄ちゃんが国木田さんに聞いた。
ごくりと生唾を飲み込む。
「そいつが異能力だからだ。
殺戮に特化した頗る残忍な能力で軍警でも手に負えん。
俺でも、奴と戦うのは御免だ」
殺戮に特化した異能力。
そう聞いて、一つ思ったこと
それは
「(物騒なところに来てしまった)」
と云う後悔だった。
「お兄ちゃん……」
「何?」
「生き残ろうね、この街で」
「……うん」
このときの私は少し期待していた
この先に待っているのは
刺激的で
楽しくて
魅力的な
昨日までは味わえない未来が待っていると云うことを
でも違った
本当に私たちを待っていたのは
絶望的で
残酷で
昨日までは味わえない『真っ暗』な未来が待っていると云うことを
そして、ほんの少しの希望を追い求め、もがき苦しむ日常のなかで
本当の自分と向き合わなければいけないことを
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+アリス+(プロフ) - 野良神さん» 誤字の指摘ありがとうございます。すぐに直しますね。 (2018年12月24日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
野良神(プロフ) - 13ページの異能力が維能力になってますよ! (2018年12月24日 9時) (レス) id: 98ee09b097 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» 判りました。こちらの不具合かもしれないので直してみます。この作品を見てくださりありがとうございます (2018年10月13日 21時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
issu(プロフ) - はい! (2018年10月12日 22時) (レス) id: 9f68ff9d03 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» イメ画は設定のところにあるもののことでしょうか? (2018年10月12日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+アリス+ x他1人 | 作成日時:2018年4月6日 17時