The 99th seat. ページ19
車を走らせて向かったのは
Aと何度か来たカフェ
一人で来ることもあって
この間、喉が乾いて
打合せの帰りに寄ったときに、みつけたんだ
“当店自慢のコーヒーが自宅で楽しめます”
POPには
*ブラック
*ブラック(微糖)
*オリジナルブレンド
*カフェラテ
*カフェモカ
*カフェオレ《NEW》
って種類までしっかり書いてあった
そう言えば…
Aはいつもカフェラテを飲んでる
これあげれば、カナダでも楽しめるんじゃない？
しかも、俺らの思い出の味じゃん？
そう思ったら
店員さんを呼び止めてた
「ふふふ、注文しておきますね。届いたら、こちらから連絡致しますので」
“店長”って名札を付けた女性が笑った
なんで笑われたのかな…
その時は何も思わなかったけど
『僕の大切な人がですね、カフェラテが大好きで…僕たちの思い出でもあるし…カナダに行っちゃうんですよ…それでプレゼントしたいんですけど、ここに今あるカフェラテ…全部もらえます？』
そっか…
わざわざ “大切な人” とか“思い出”とか言ったから？
後から考えれば恥ずかしいヤツじゃん(笑)
他人にわざわざ、言うことでもないし…
で結局、在庫が少なくて
注文してくれることになった
そして昨日、届きましたの連絡がきたわけだ
申し訳ないから
ケーキセットを注文して
店内で過ごす事にした
チーズケーキをつついてたら
テーブルに置いていたスマホが
ブーブーッと音を立てて
少しずつ移動していた
“松本潤”
『(もしもし、何？どうかした？)』
「(何って…用がないと電話しちゃいけないの？(笑))」
『(いや、いつも仕事の事とかが多かったじゃん？)』
「(なんかさぁ、もうすぐこっちに来るじゃん？俺の方が一緒にいる時間長くなるけど、大丈夫なのかな〜って)」
電話の向こうで、ニヤッと笑ってるのが目に浮かぶ…
『(この間、お前が言ったんじゃん…後輩として好きって…。俺はそれを信じることにしたんだけど…)』
「(なるほどね。翔ちゃんらしいわ。俺の事を信じてくれるってことね)」
『(ホンネを言うと、今すぐにでも伝えたいけどさ…A、あれもこれもでいっぱいいっぱいになりそうでさ…せっかく頑張ろうとしてるのに、邪魔しちゃ悪いし？だから、帰ってきたら、遠慮はしないって決めたんだよね)』
「(それを聞けただけで十分。あぁ〜、なんか俺まで楽しくなってきちゃった♪じゃぁ、また何かあったら、連絡するね)」
『(おい！！)』
潤は勝手に満足して、電話を切ってしまった
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作者名：二葉(ふたば) | 作成日時：2019年1月15日 0時
