The 93rd seat. ページ13
5人が口を揃えて
「何も作ってないよ(笑)」
って笑うと二宮が
「だから、咲坂を迎えに行かせて、早く来たときの為に、タイムキーパー的な役割与えたの」
ケラケラ笑いながら、さらに追い討ちをかけて
アツアツのたこ焼きを運んできた
俺は
恥ずかしさと、情けなさと、悔しさで
テーブル席の隅っこで体育座りでまーるくなった
顔を膝に乗っけて、口を尖らせイジけモード
いや、俺だって…
出来ないなりに、少しはできると思ってたんだよ
智君がダメ押し的な感じで
「盛り付けぐらい…できると思ったんだけどな〜。お皿からはみ出しちゃってたしなぁ…」
ふにゃって笑って言ってたけど
ほんとそう…盛り付けぐらい！って思ってたのに
Aは呆れてるだろうな…ってさらに落ち込む…
「櫻井さん？たこ焼き食べましょ？」
『Aも、呆れてるんでしょ…俺が何もできないから…』
顔を上げたら、呆れてるAの顔が…
って思ってたのに、その表情は
「私は、待っていてくれたのが櫻井さんで、嬉しかったですよ？」
想像してた表情と真逆で
違ってたら恥ずかしいけど、言葉通り
嬉しいが溢れてるって、感じ
それを感じて、尖っていた口が少しずつ戻った
「さっ、アツアツのうちに食べましょ！」
Aが食べ始めると、俺も一個頬張った
『あっふ、やはい、めっちゃはふい』
「ふふふ、一口で食べるからですよ！！」
やっぱり、なんて言ってるか伝わってるみたいで
それを見てた中里が、ビックリしてるのが見えた
なんで、わかるの？って(笑)
智君が俺が盛り付けてたカルパッチョを
綺麗に直してくれたみたいで
俺が盛り付けたのと同じ料理なの！？
って料理に気をとられてるうちに
みるみるうちに赤くなる頬
そんなに、飲んでないはずなのに…
『Aどした？顔赤いけど…もう酔ったか？』
まだ、一杯しか飲んでないのに？
どんどんテーブルに料理がならんで
どんどん口いっぱいに頬張って
モグモグしてたら
「今日はAちゃんの壮行会なのに…なんで翔君ばっか食べてんだよ」
潤が呆れながら、取り分けてAに渡した
あっ！それ、俺がやりたかったやつ！！
食べるのに夢中になってた…
しまったなぁ…って思ってたら
雅紀がなにやらお酒を運んできたのが見えた
何かな？って
身を乗り出した俺の視界を遮ったのは中里だった
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作者名：二葉(ふたば) | 作成日時：2019年1月15日 0時
