ドロモスワークスカンパニー3 (ページ8)

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待機ページ8

それからしばらくしておくと、何人か……幻想体の数え方がこれで合ってるのかは分からないけれど、とにかく何人かの幻想体がやって来た。

　うねうねと蛇みたいに蠢く赤い薔薇。チェストボックスの頭をした男の人。きらきら緑に光る女の子。機械みたいな女の子。テレビの頭をした男の人も。

　こんなにたくさん幻想体を同じ部屋に入れといて良いのかと思ったけど、聞くところによると、彼らは本来なら各々別室で待機する筈だったらしい。けれど、絶対に暴れない事を条件にここへ連れてきて貰えたとか。

「ああ。それに女王蜘蛛の糸は幻想体の攻撃に対して絶対的な耐性を持つ。万が一暴れたとしても、こいつが止めてくれるさ」

　レンさんはそう言って、赤目の女の子の肩を抱く。二人はどうやらかなり親密な関係にあるらしかった。

「……それにしても、すごい大事になったみたいだね～。僕、なんとなくついてきちゃったけど大丈夫なのかなぁ。死んじゃったりしないよね？」

　部屋の隅っこに寄りかかったアインさんが言う。不安げだ。それもそうよ。アインさんは普通の人間なんだもの。

「大丈夫ですよ。何かあっても、あたし達が守りますから！」

「そうですよぉ。私達、これでも魔法少女なんですよ」

　本当に守れるかはさておいて、アインさんを安心させるためにあたしはそう言う。あたし達が魔法少女である事を見せつけるためにか、カチュアは光の魔法を使おうとする。

　けれどうまくいかないらしく、光はふわりふわりと現れては霧散していく。それでも綺麗なものは綺麗で、アインさんは目をきらきらさせた。

　あたしは違和感を覚える。カチュアの魔法がうまくいかなかったのは、偶然じゃない。何か、奇妙な力が働いたのを……いや、違う。魔法がかき消されたのを感じた。けれど、何が？考え付くのは……。

　ちらりと、足元に目をやる。

　この糸だ。多分。

　あたしを拘束したこの糸。力が使えなくなる糸。レンさんはああ言ってたけど、つまりこういう事なんじゃない？

「ハロー、碌でなしのおチビちゃァん♡」

　そんな事を考えてると、頭上から声がした。見上げれば、そこには大きな怪物……女王蜘蛛がいた。腕には小さな男の子を抱いている。

「時間が来たわよぉ、いきなさーい！……あ、魔法少女ちゃん達とそこのおチビちゃんは残ってて」

　あたし達とアインさんを指差す。何だろう。何か用事？あたしは軽く首を傾げた。