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「え、嘘」
何が何だか分からない。頬をつねるけれど、痛い。これは夢じゃないんだ。
顔が青くなるのを感じる。ここはどこ?私は家に帰れるのだろうか。客観的に考えて私は今、見知らぬ場所にいる。つまり、遭難している。
鞄を漁ってスマホを取り出す。けれど……動かない。圏外だとかの何かしらの表示すらない。何度電源ボタンを押しても、画面は暗い。おかしい。充電はまだ半分以上残っていたはずなのに。
「ど、どうしたら……」
「こんにちは!」
「うわぁ?!」
突然声をかけられる。木陰に隠れていたのか?
見れば、そこにいたのは女の子だった。さっきの男のような雰囲気ではない、普通の女の子。白い髪に白い目で、どうも外国人みたいだ。白いシャツに黒のスカートを履いた、可愛い女の子。多分私と同い年くらいだ。
「あれ?言葉は大丈夫だって聞いてきたんだけど……ねえ、大丈夫?私の言葉、分かりますかー」
「わ、分かる。分かる、けど……だ、誰?」
「あ、良かった良かった。私はチュートリアルだよ!長いし、リアって呼んでよ。大丈夫、あなたの助けになるからね」
チュートリアル?私は首を傾げる。チュートリアルって、あの?
いや、もしかすると外国には本当にそういう名前があるのかもしれないし、聞くのは失礼なのだろうか。人の名前にとやかく言うべきではないだろうし。
それより、助けになるとは?
「ええっと、私は白蜜……洞尾白蜜。助けになるって、どういう……」
「白蜜ちゃんね、分かった!えっとねー、私が手助けするから、頑張ってほしいの!」
答えになっていない。外国人らしき女の子……リアは私の手を引っ張って森の中に入っていく。抵抗しようとは思えなかった。リアからは悪意は感じられなかったし、それにリアの申し出を断ったとしても私にはこれから先どうしたら良いか分からなかったから。
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