薄桜鬼黎明録 羅刹と新選組！

１５話　山南side ページ17

私はA君が芹沢さんの部屋に入ったのを見て、研究室に行った。

今日は雪村綱道氏が屯所に来る日なのですから。


〜研究室〜

研究室には、新見さんはいなかったが、すでに綱道さんがいた。

南「お待たせしてしまって、申し訳ありません」

綱「いえ。お気になさらず」

少し羅刹について話した後、私は今日一番知りたかったことを聞く。


南「ところで…羅刹に成功例はいないのですか？」

もしここでA君のことが出てきたら、彼女は羅刹の成功例という仮説が成り立つことになる…。

綱「ええ。…昔、成功に最も近い者ならばおりましたが」

南「成功に最も近い、とは？」

綱「そのままの意味です。数年前、その者はまだ６歳でした。なぜかその者には羅刹の吸血衝動が一度も起こらなかったのです」

南「その方は今、どこに？」

綱「死にました。確認はしていませんが、確かでしょう」

私は綱道さんをじっと見る。

綱「５年前…その者のいた研究所が燃えてしまったのです。その者は、１１歳でした」

南「なるほど…」


つながった。

やはりA君は羅刹の成功例…。


綱「すみません、これから用事がありまして…」

南「そうですか。では、本日はありがとうございました」

そう言って綱道さんは帰って行ってしまった。

改良案は出なかったものの、今日は今までで一番有意義なお話ができた。

私はさっそく、土方君のもとへ向かった。

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