2-8 少年の意思 ページ8
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先程斬られて地面に横たわる男達に夜月は一瞥する
「…愚かな奴ら」
急所から溢れ出る五人の血の臭いは夜月のいる辺りを充満させるのにはそう時間がかからなかった
(依頼しておきながら欲をかいた末路がこれだ…)
戦が激化した途端、依頼が増えたと同時に出てきた“交渉決裂”
常闇の黒猫が存在すると確信を持った者が取引時に少しでも戦場に利を得ようと欲をかき、夜月に攻撃を仕掛ける輩が起こすといった所だ
初めこそ返り討ちにし気絶してる間に記憶を消していたが、それが増えればいつかこちらに不利がでると考えた夜月はこうして一斬必殺の行動を取り始めたのだ
男の喉に刺さったままの脇差を抜き血を振り払うと血で多少汚れてしまった巻物を静かに拾った
(血の臭いが移らないうちに)
ここから立ち去るか、と踵を返した時背後から枯れ葉が踏みつける音が聞こえた
「…成程、お前は運がいいな」
感心するように鼻で笑う夜月の背後には荒い息で傷口を押さえクナイを夜月に向けて立つ、夜月を背後から襲い鳩尾を受けた男だった
(気絶する程に打撃を与えたつもりだが…精神力の強さで意識を持ってるか)
「…巻物を…置いていけ…!」
顔を動かし目を向けた夜月がみた血走ったその目には恐怖が見え隠れした、でも意思のある瞳だった
「…交渉は決裂した」
「っ…それがないと俺は…!」
グッ
そう言おうとするか否か、首筋に刃を当てた途端一気に恐怖一色に染まった
「お前ら一族は約束を破った
お前らだって任務をしくじったら後はわかってるだろう?」
「いやだ…死にたくなぃ…」
体を震わせボロボロと涙を流す男に夜月は内心滑稽だと思った
だが、それと同時に先程まで暗闇だった周りが月光に照らされはっきりとした男の顔に目を細めた
「…お前、親か兄弟はいるか?」
「え…」
いるのか、と怒気を込めて再度問うと慌てた様子でいると答えた
「年の離れた…弟だ
親は、ずっと昔に戦争で死んだ」
夜月は“弟”の言葉にわずかに目を見開いた
《夜月さん!》
「…そうか」
夜月は静かに短刀を下ろすと腰につけている鞘に収めた
首筋に当てていた刃の感覚がなくなったのを察した男…ではなく少年は糸が切れたようにその場で崩れ落ちた
「大した少年だな」
少年が生きているか確認した後、掌を少年の額を優しく撫であげるとチャクラを掌に集中させ夜月は少年の記憶を消した
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サメ?(プロフ) - 続きめっちゃ楽しみです!更新停止になってしまってますが、これからも頑張ってください! (2022年6月14日 21時) (レス) @page38 id: 9329097f20 (このIDを非表示/違反報告)
船長 - これからも更新頑張ってください (2018年2月26日 17時) (レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)
シオン - 華月sども(*´∀`)お久しぶりです 気づかぬ間にめっちゃ書いてますやん(((( 画面の向こうから応援してますよ! 華月s頑張れー!フレッ⊂(`・ω・´)⊃フレッ (2016年1月10日 18時) (レス) id: 619d5fd377 (このIDを非表示/違反報告)
華月(プロフ) - わああ!!スミマセン!!打ち間違えましたァア!!( ;´Д`) (2015年8月6日 18時) (レス) id: f42ef30e33 (このIDを非表示/違反報告)
華月(プロフ) - misyou.goさん» mid you.goさん、コメありがとうございます!!更新停止はないと思いますが…他の作品にも更新するので更新が不定期だったりします。これからもよろしくお願いします!(^◇^) (2015年8月6日 18時) (レス) id: f42ef30e33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華月 | 作成日時:2015年7月23日 20時