2-20 お願いじゃない、これは命令だ ページ20
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なにが悪かった?
一体どこで知られてしまった?
《聞きましたか?皇后様のお子のこと》
うるさい
《あの眼の色、もしや物怪の祟りでは…》
私は物怪なんかじゃない
《あの子が嫁ぐ婿殿が不憫でなりませんな》
私は…!
ーーーーー
バシャンッ
「うっ…」
突然襲ってきた冷たい水に夜月の深く眠っていた意識が強制的に浮上する
視界に映るのは胡座をかいて縛られている自分の下半身だということに気がつく
「あ、起きた」
「!!」
頭を垂れる状態で上から聞こえた男の声に夜月は眼をカッと見開きその男に顔を向ける。その反動で頭からかけられた水は玉となって周りに飛び散った
「…てめぇは、ぐっ!!」
「貴様、イズナ様に無礼だぞ!!」
元凶である男に睨みをきかせれば隣にいた別の男が手持ちの棒で背中を強く打ち付け叱咤する
「いいのいいの。これからこちら側につかせればいい話なんだから」
目の前にいる男、イズナは夜月と対面した時と変わらず同じように笑いの表情を見せて腰をおろした
「君が黒猫かどうかは確認したから言うね…君に頼みたいことがある」
「…生憎、隠密に事を成すのが自分の鉄則でね。それに、一族従属の忍にでもなるつもりも毛頭ない」
これは夜月が黒猫と噂される前から決めていたことだ。必要以上の殺生や盗みもしない。時間を食うし、痕跡を残す。下手すれば誰かに見られるかもしれない。それが多い分だけ足がつく可能性が高くなるからだ
そもそも夜月は依頼については根無し草だったことからあまり依頼した人との深い関わりは避けている
暫し無言の状態が続くがそれを破ったのはイズナの方だった
「それは人質がいるのを分かってて言ってるのかな」
「分かってて言ってるのさ」
「…つまり、君はチトセちゃんを見捨てるって訳か」
チトセ、の単語に僅かに反応を示した夜月にイズナはしめたとばかりに口角を上げる
「長い間どれだけの奴らが君を探しても尻尾さえ見つからなかったんだ。尻尾どころか本人を捕まえたことだけは褒めて欲しいね。それと、人質云々を抜かして君が逃げられるとでも?
…あまりうちはを舐めるな」
最後に夜月に殺気を向けるとイズナは静かに立ち上がった
「言っておくけど、これはお願いじゃない、命令だ。君がこれを拒む限り君達に自由はないよ」
そう言うとイズナと隣にいた男はその場から出て行った
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サメ?(プロフ) - 続きめっちゃ楽しみです!更新停止になってしまってますが、これからも頑張ってください! (2022年6月14日 21時) (レス) @page38 id: 9329097f20 (このIDを非表示/違反報告)
船長 - これからも更新頑張ってください (2018年2月26日 17時) (レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)
シオン - 華月sども(*´∀`)お久しぶりです 気づかぬ間にめっちゃ書いてますやん(((( 画面の向こうから応援してますよ! 華月s頑張れー!フレッ⊂(`・ω・´)⊃フレッ (2016年1月10日 18時) (レス) id: 619d5fd377 (このIDを非表示/違反報告)
華月(プロフ) - わああ!!スミマセン!!打ち間違えましたァア!!( ;´Д`) (2015年8月6日 18時) (レス) id: f42ef30e33 (このIDを非表示/違反報告)
華月(プロフ) - misyou.goさん» mid you.goさん、コメありがとうございます!!更新停止はないと思いますが…他の作品にも更新するので更新が不定期だったりします。これからもよろしくお願いします!(^◇^) (2015年8月6日 18時) (レス) id: f42ef30e33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華月 | 作成日時:2015年7月23日 20時