2-11溺れる ページ11
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修行を始めて3週間
コツを掴むのが速いのか地道な努力をしたおかげなのかは分からないが、チトセは着実に習得へと向かっている
チトセの目の前にある一本の木に刻まれている数え切れない程の横傷が半分より上の位置から下にかけてあるのがその証拠だ
「ハァ…ハァ…」
(ダメだ…こんなんじゃ、夜月さんが認めてくれない)
もう一度と木に向かって助走をつけ始めた時遠くから聞こえた声に足を止めた
「チトセちゃ〜ん!」
「!」
徐々にはっきり聞こえてきた聞き慣れた声と共に駆け足で獣道を走ってくる子供
「メジロお姉ちゃん!」
メジロと呼ばれた少女は背に籠を抱えながらチトセのいる場所まで走ってきた
「修行頑張ってる?」
「うん…でも中々上手く登れなくて…」
「それもそうだよ」
それを使うから、とメジロの発言ににチトセはそうだねとしか答えるしかなかった
「あ、山菜採り一緒に行かない?ずっと修行じゃ後で体壊すわよ」
籠を持ち直しながらチトセを心配する
チトセにとって姉同然であるメジロの優しさに思わず顔がほころんでしまう
「うん…あと一回やらせて。今度こそ上手く登ってみせる」
チトセのお願いにメジロは快い返事をすると、数本チトセから下がった
タッ
勢いよく助走をつけて走り出しその木に一歩足を付けると、まるで木の表面が地面かのように普通に走る
走るうちに一番上に刻まれていた線を越え、下で見ているメジロが下から歓声を上げるのを聞いたチトセは高揚した
ズルッ
「!!」
気が緩み足を滑らせたチトセ
体制を立て直そうと木に向かって足をつけたが更なる問題をだしてしまった
バキィ
「うわぁ!?」
突然一歩踏み込んだ所が音を立ててめり込み、チトセが抑えていたチャクラが洪水のように溢れ出た
(こんな時に薬切れ!?)
反動によりメジロのいる場所から離れた場所に叩き落とされた
それだけならいいが、運悪くチトセが落ちたのは流れが速い川へと下る急斜面
チトセの体は木にあちこちぶつけながら勢いよく川に落ちた
「ごぼッ…!」
口から空気の泡が溢れ息が苦しくなる
小さな体で上へ上がりたくても体が疲労と痛みで悲鳴をあげてピクリとも動かなかった
薄っすらと開けた目に光がゆらゆらと反射する水面が遠くなるのを見て今までの思い出が走馬灯のように頭の中を駆け巡る
最後に思い浮かぶのは朗らかに笑う夜月の姿だった
(助けて…お姉ちゃん)
その時誰かに腕を力強く引かれるのを感じた
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サメ?(プロフ) - 続きめっちゃ楽しみです!更新停止になってしまってますが、これからも頑張ってください! (2022年6月14日 21時) (レス) @page38 id: 9329097f20 (このIDを非表示/違反報告)
船長 - これからも更新頑張ってください (2018年2月26日 17時) (レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)
シオン - 華月sども(*´∀`)お久しぶりです 気づかぬ間にめっちゃ書いてますやん(((( 画面の向こうから応援してますよ! 華月s頑張れー!フレッ⊂(`・ω・´)⊃フレッ (2016年1月10日 18時) (レス) id: 619d5fd377 (このIDを非表示/違反報告)
華月(プロフ) - わああ!!スミマセン!!打ち間違えましたァア!!( ;´Д`) (2015年8月6日 18時) (レス) id: f42ef30e33 (このIDを非表示/違反報告)
華月(プロフ) - misyou.goさん» mid you.goさん、コメありがとうございます!!更新停止はないと思いますが…他の作品にも更新するので更新が不定期だったりします。これからもよろしくお願いします!(^◇^) (2015年8月6日 18時) (レス) id: f42ef30e33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華月 | 作成日時:2015年7月23日 20時