検索窓
今日:7 hit、昨日:45 hit、合計:205,931 hit

111話 ページ15

.


A「.....」


蛭田さん夫婦と別れ、ゆっくりとラジエーションハウスへ戻って行く伊東さんの横顔を彼女に気づかれぬようそっと覗く。


僕は今の彼女の心境がわからない。

そんな状態でどう声をかければいいのだろうか...



扉を抜け、ハウス内に入ると中には甘春先生がいることに気が付いた。





甘春「...五十嵐さん、また勝手に検査をされたんですか?」


僕が「えっ」と声を漏らし、慌てていると伊東さんがあはは、と笑ってから応えた。


A「大丈夫ですよ、私がオーダーしました。」




伊東さんが書類を見せると甘春先生は「ありえません...」と呟く。


甘春「以前の画像は私も拝見しましたがしこりは写っていました。再検査したところで結果は変わらないハズです!どうして安藤先生はオーダーを...」



五十嵐「前回の写真に僅かですがCSLの可能性が読み取れたので...それをはっきりさせたいとお願いしたんです。」



甘春「CS、L...」


すると伊東さんは「とてもレアな良性の腫瘍です」と付け足した。




五十嵐「僕も実際に診たのは初めてです。」



A「...私もCSLを直接診たのはこれで"2度目"ですね。」





この時、僕は若干の引っ掛かりを覚える。


...引っ掛かり(それ)は偶然なものなのだろうか。







A「...読影し直していた時に若干の違和感を感じましたので五十嵐さんに再検査のオーダーを出させてもらいました。」



五十嵐「少しでも...少しでも助かる可能性があるのなら、出来ることはしたいって思って...」




軒下「それで...真貴ちゃんは.....」


甘春先生の後ろにいた軒下さんが小さく口を開いた。

僕は口元を緩めて顔を上げる。





五十嵐「心配は無いと思います...!」



軒下「...!...そっか...!!」


軒下さんは息を吐いて安心したような笑みを浮かべた。






その後、僕らは蛭田さん夫婦からお礼の言葉を受け取り、それぞれ解散となった。



.




ふと、僕はラジエーションハウスからおもむろに出て行こうとする伊東さんの後ろ姿を見つける。


一度着替えを済ませてから声をかけようかと思っていたが、僕の足は自然と彼女の跡を追いかけていた。

なぜなら彼女は扉の先の読影室がある方向ではない逆へ進んで行ったからだ。




彼女が辿り着いた先へ、自身も若干の遅れを持って辿り着く。






僕は病棟の屋上の重いドアへ手を掛けた。




.

112話【訂正版】→←110話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (156 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
920人がお気に入り
設定タグ:ラジエーションハウス , 五十嵐唯織 , 窪田正孝   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

奏奏奏(プロフ) - きぇぇぇぇ!!さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきます! (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - レナさん» ありがとうございます!励みになります´`* (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
きぇぇぇぇ!! - ラジエーションハウスは大好きな作品(?)なので頑張ってください!(?) (2019年7月30日 17時) (レス) id: 5d428d39a9 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 待ってました。これからも頑張ってください。 (2019年7月16日 22時) (レス) id: 869c734d75 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:奏奏奏 | 作成日時:2019年7月16日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。