92話 ページ44
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ピレス『だから私は彼女を"安藤"という新たなベールで覆い、日本へ送り出したんだ。.....そうすれば"悲劇の秀才"と呼ばれることもなく、完璧を求める必要はないだろう？』
すると教授は｢ああ...｣と少し唸った後、続ける。
ピレス『もちろん始めは一度医者という職から離れることを勧めたよ。...けれど彼女はそれを全く聞き入れなくってね。』
教授は｢困った子だ｣と冗談混じりに笑った。
五十嵐｢...何となく分かります。｣
僕も苦笑いして頷く。
彼女の性格からして"逃げる"という選択肢は元よりないのだろう。
五十嵐｢"安藤"を渡し、日本へ送り出した理由...それは心の休養、ということですか？｣
しかし、教授から返ってきた返答は｢ノー｣だった。
僕は若干驚きの声を漏らす。
ピレス『心の休養も確かにあるが...イチバンの理由はそれではないんだよ。』
五十嵐｢...え？｣
僕の間抜けな声を聞いたからか彼は再び笑い、応える。
ピレス『日本には君がいるだろう？』
五十嵐｢...！｣
ピレス『...Mr.五十嵐.....君なら彼女を救えると思ったんだ。』
ふと、僕は院長に言われたことを想起する。
．．．
大森｢...五十嵐くん。貴方なら、きっと彼女を救うことが出来るわ。｣
．．．
五十嵐｢...僕が...彼女を救える...？｣
そう呟いていると、教授がおもむろに問いかけてくる。
ピレス『...ところで、どうして私が彼女に渡したラストネームが"安藤"だったのかわかるかい？』
五十嵐｢...！...そういえば.....わからないです。｣
教授は｢それもそうか｣と言って笑った。
ピレス『"安藤"...つまりは"And"。Mr.五十嵐、"And"が持つ意味は一体何かな？』
五十嵐｢..."And"...？接続や同時性に反復...。...！！｣
ハッとして顔を上げると、教授は｢わかったかい？｣と電話越しに口端を上げた気がした。
ピレス『そう、即ち"繋ぐこと"....Mr.五十嵐 and Ms.伊東。"安藤"が再び君達を繋ぐ架け橋になって欲しいと思ってね。』
驚きのあまり口を開けていると、教授は｢それも...｣と言って続ける。
ピレス『"医師と医師"ではなく、"医師と
そこまで伝え終えると、教授は｢そろそろ時間のようだ｣と言った。
僕は謝礼を伝え、耳からイヤホンを外す。
五十嵐｢...繋ぐ...こと.....｣
僕の呟きはゆるゆると流れる夜風を滑っていった。
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奏奏奏(プロフ) - リディア94さん» ありがとうございます…！大変遅れまして申し訳ありません！続編を作成致しました！ (2019年7月16日 22時) (
レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
リディア94(プロフ) - すごくいいところで話が終わってる…ものすっごく素敵で面白い話なので、続き早くみたいです！！！更新待ってます！ (2019年7月16日 15時) (レス) id: 4cfe601cb3 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - あいちゃむさん» ありがとうございます！毎日少しずつではありますが頑張っていきたいと思います´`* (2019年6月29日 12時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃむ(プロフ) - 毎回、更新楽しみにしてます！継続は大変だと思いますが、無理をなさらず可能な範囲で。。 (2019年6月29日 1時) (レス) id: a51c69fc03 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - 茉莉花さん» コメントありがとうございます！とても励みになります…*_ _) (2019年6月13日 22時) (レス) id: 3daaf042e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奏奏奏 | 作成日時：2019年6月13日 20時
