壊れても (ページ11)

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西畑side

てっきり流星が帰ってきたものだと思った。

おかえり、と言いかけて入ってきた人を見てその言葉を飲み込む。

何度もお世話になったことがあるプロデューサーさんだった。

なにわ「おはようございます！」

のんびりとしていた楽屋に緊張が走り、

咄嗟にみんなが立ち上がって挨拶をする。

プ「いいよいいよ(笑)そんなに固くならないで。

大橋くんと大西くんは居らんのかな？」

西畑「大西は遅くなってしまった謝罪をスタッフさんに入れに行ってます。

大橋は、、あれ？」

高橋「多分、お手洗いか飲み物でも買いに行っとるんだと思います、、、」

少し、プロデューサーさんの目が可笑しそうに光った。

藤原「全員居ったほうがええですか？探してきましょうか？」

プ「いやいや、なにわ男子は東京でも頑張っとるなぁと思ってね。

ちょっと激励でも、と思って寄っただけ。

大阪もよろしくな？」

はい！とみんなで返事をし、こちらを一度向いてから出ていく彼を見送る。

こんなに偉い人に目を掛けてもらえるようになれたということが純粋に嬉しい。

でも、彼が出ていった後に満足感にも似た笑みを浮かべていたのは、

俺と、

恭平と、

みっちーだけだった。

がくっ、と力が抜けてしまい床に膝をついて荒い呼吸を繰り返す丈くん。

机に手をついて肩を大きく上下させる謙杜。

高橋「けんとっ！大丈夫か？まだ体調悪い？」

恭平の声にはっとし、丈くんに駆け寄る。

西畑「丈くん？どうしたん！？」

藤原「おおはし、おぉはし、あぁぁ…」

西畑「はっすん今居らんのよ……丈くん！」

さっきまでは辛うじて耐えていた体は、

今や力がすっかり抜けて、俺に完全に寄りかかっている。

道枝「…俺、探してきます！！」

うわ言のように繰り返す言葉に反応してみっちーが部屋を走って出ていく。

ふと謙杜の方を見れば、恭平に支えられて椅子に座っていた。

彼もまた力が入っていないようで、ぐったりともたれ掛かっている。

怖い。こんな彼らは見たことがないから。

なにも映していない丈くんの目を見て必死に呼びかけていると、扉が勢いよく開いた。

大橋「丈くん！」

それは心底待ちわびていた人で、顔を見ただけで涙が出そうになった。