初恋の君が知っている ~*探偵チームKZ事件ノート~*

part13　名言の迷信？ ページ48

・ 観客 side



　「これ、私のポストに。」



　目が緊張した美人、美野羚亜が、

　1枚の封筒を背の低い男子、
　若武和臣に渡す。



　「流石、我らKZを知っているな。」



　若武は、周りの女子2人、
　男子3人に視線を送る。



　「まあ、ようやく目立てたしね。」



　苦笑しながら、穏やかに言葉を紡いだのは、
　小塚和彦。



　「確かに、叶ったね。」



　そう、壁を指す長身の男子、黒木貴和。



　「これ以上、巻き込まれるのはごめんだ。」



　大きく溜め息をついた、上杉和典。



　「当分は、静かにしてて欲しいな。」



　フワリと微笑むのは、立花彩。



　この中学生たちは、日本中で有名な、
　探偵チームを組んでいる。



　「これ、ユリの筆跡だよ。」



　羚亜の声に、彼らは顔を強ばらせた。



　「読むよ。」



　無駄ない動きで、文面を見やり、
　鈴のような声で読み出した。



　「羚亜ちゃんと、KZの皆。


　こんにちは、百合子です。

　迷惑かけて、ごめんなさい。


　私、何も知らなくて。

　なんて、言い訳よね。


　ありがとう、ごめんなさい。


　これしか言えない人間よ、私なんて。



　百合子。」






　「犯罪は、被害者だけでなく、
　加害者をも絶望に追い込む。

　だから、なくさなければならないんだ。」



　と…若武はしみじみと言った。


　瞬間、爆発的な笑いが起きる。



　「若武先生、気色わりーよ、お前。」


　「100年、いや1億年に一度の、
　ありがたいお言葉だよ。」


　「素直に受け取っておこうか。」


　「次は、ありもしないこと言い出すよ。」


　「ん、『ウェーブの若武』だから。」



　明るく、楽しそうな声が、

　部屋に木霊していた。









end.

完結!!!→←12-D

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