初恋の君が知っている ~*探偵チームKZ事件ノート~*

7-C ページ26

・ 彩 side



　『立花 彩 様』


　私たちは、レイの家を出てから、
　公園に来ていた。

　初夏の心地よい風が、
　緑色の木の葉をフワリと揺らす。



「綺麗な字だね、レイは。」



　確か、字が綺麗な人は、
　心も綺麗だ、って聞いたことがある。



「ヤベ、緊張する。」



　若武は、そう言って、力なく笑う。



「レイ、毒舌だからな。こえー。」



　上杉くんは、
　この固くて 静かな空気を、
　変えようとしてくれているみたい。

　わざとらしい言い方。



「僕、女子から手紙なんて貰ったことないから、楽しみだよ。」



　小塚くんが、丁寧に封をきりながら
　笑みを溢した。



「俺も、読もうかな。」



　世界の姫からのお手紙だからね、と微笑み、
　慣れた手つきで便箋を広げていく黒木くん。


　私も、文面に目を落とした。







『国語のエキスパート兼書記、

　立花 彩 様



　私が特別クラスに入った瞬間、

　「この子は、普通じゃないな」と思った。

　同時に、愛されてるな、とも。


　紅一点。

　澄んだ、綺麗な目をしている子。

　それから、
　まっすぐで、真面目で、鈍感で、天然。



　彩は、これまで、いじめられてた、よね。

　だけど、そのたびに、
　強くなってきてるんだと思う。



　私、彩のこと、心から尊敬してる。


　私がいなくなっても、
　凜とした強さをそのまま保っていてほしい。









　短かったけど、ありがとう。


　KZ、癒しの天使さん。

　 美野羚亜。』



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