卵とご飯で ページ18
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ジャムとオムライスを作ってくれたAちゃんは相当疲れていたらしく、映画の山場が来る前にソファで眠ってしまった。
画面の中の幽霊にも、美勇人くんの悲鳴にも動じないまま。
Aちゃんが息を吸う度に、柔らかい唇が少し動く。
「俺、寝かせてくる。」
美勇人くんは立ち上がりながらそう言うと、Aちゃんを軽々と抱き抱えた。
俺が、って言おうとしたけど、俺はAちゃんの寝室がどこにあるか、知らない。
「なになに？顕嵐もAのこと好きなの？」
樹くんもまた、Aちゃんに駄々をこねて、ご飯を作ってもらっていた。
オムライスではなく、樹くんはチャーハン。
「...樹くんもですか？」
「いや、俺は、」
「あいつはないわ(笑)」
「えっ。」
意外だった。
忙しい樹くんがわざわざ家に来ては手料理をねだったから、てっきり樹くんも好きなのかと思っていたから。
「いやぁ、ないない。美勇人が付き合ってたのが不思議なくらいだもん。」
「樹くんは、Aちゃんと...」
「あ、幼なじみ。小学生から一緒。あいつ昔はメガネだったんだよ？髪もぼさぼさだったし、そう考えたら可愛くなったよな〜。で？好きなの？」
樹くんはお行儀悪く、スプーンをマイクに見立てて俺に向けてくる。
女の子が恋バナする時みたいな顔しないでよ。
「好き、ですよ。」
「へ〜！だってよ！美勇人！」
「知ってるよ。」
どこか悲しそうに笑う美勇人くんが、樹くんの目線の先に立っていた。
俺がAちゃんを好きだって、美勇人くんが知っているのは知ってた。
なのに、あまりにも美勇人くんの笑顔は俺には切なくて。
「俺も、だよ。」
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ゆーみん - すごくよかったです (2020年8月16日 0時) (
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作者名：梅子 | 作成日時：2018年11月24日 3時
