接吻とフレンド (ページ15)

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紅と砂糖ページ15

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テーブルに並べられた、三つの瓶。

Aちゃんは、三種類のいちごを使ってジャムを作った。

途中で美勇人くんがトイレに行ってる間に、つまみ食いさせてもらったけど、市販のように一種類のものと三種類使うものではこんなにも違うのかと驚いた。

ちょうど食べさせてもらっているところを美勇人くんに見られて、美勇人くんも駄々をこねて、Aちゃんにあーんしてもらっていた。

美勇人くんのその姿が面白くて笑いをこぼすと同時に、Aちゃんの手馴れてる様子から、やっぱり二人は付き合っていたんだと実感して、少し悲しくなった。

瓶に触れると、まだ生暖かい。

さっき出来たてをトーストに乗せて三人で食べたけど、マジで美味しかった。

瓶の澄んだ赤の向こう側に、窓の外の景色が見えた。

雲一つない晴天で、太陽の光が差し込んで赤を反射させる。

さっきまでと違って、瓶は満杯で、そばには好きな人がいて、この二つがあるだけで俺の見える景色は本当に変わってくるんだと思った。

『顕嵐くん、つまみ食い？』

「まさか(笑)ちゃんと待ってるよ、冷めるまで。」

『ふふ、美勇人はいっつもつまみ食いするんだよ。あ、寝ちゃった...』

映画を見てゲラゲラ笑っていた美勇人くんは、いつの間にかソファで横になって目を瞑っていた。

最近、美勇人くん忙しそうだったから、寝落ちしちゃうくらい疲れてるんだ。

Aちゃんがパステルイエローのブランケットを美勇人くんにかけると、美勇人くんは少し寝返りを打った。

『顕嵐くん手伝ってくれてありがとう。助かったよ。美勇人が起きたら、夜ご飯食べようね。』

「こちらこそ急にごめん、ほんと。ありがとう。そうだね、それまでゆっくりしよっか。」

美勇人くんが見ていたであろう映画を、Aちゃんはアイスティーを飲みながら、横目で見た。

画面の中で、主人公とその想い人の影が重なって、

同時に俺は、Aちゃんに口付けた。

美勇人くんが起きてることも、ちゃんと分かっていた。

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