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Episode115 ページ28

「ムリ…パソコン…ガメン…ゲンカイ、シヌ。」

安吾の執務室で事務仕事を始めてから十時間以上が経過していた。
忘れていた遅めの昼食をとってから、今に至るまで約七時間。
Aはひたすらに資料を打ち込み続けていた。

普段のパソコン作業なら一時間もかからずに済ませてしまうAだが、情報員の仕事となると、量も質も桁が違う。
終わりの見えない作業に、長時間画面を見つめることに慣れていないAの目は、とっくに限界を迎えていた。

「お疲れ様です。貴方のおかげで、仕事がかなり捗りました。どうぞ。」

そう言って安吾が差し出したのは、純白のショートケーキと紅茶。

「うわぁ!ありがとうございます!あと十時間はいけます。」

死んでいた筈の目を輝かせて、ケーキに飛びつくA。
安吾は扱いやすい人だな、と思ったが、口には出さなかった。

「安吾さんの事、ちょっとわかりましたよ。坂口安吾、10月20日生まれ 二十二歳 178cm 62kg。元電網潜士(ハッカー)で、ポートマフィアの金に手をつけた所を捕まり、森さんに腕を買われた。」

作業の片手間に調べた安吾の情報。
満足そうな顔を見る限り、合っているようだ。

「お見事です。」

「安吾が人を褒めるなんて珍しいね。」

聞き慣れた声に振り向くと、扉の所に立っていたのは太宰。

「太宰君、如何してここに?」

どうやら二人は知り合いのようだ。

「中也と仕事した時にAちゃんがいなかったから。安吾のところにいるって聞いて、なんか面白そうだなと思って。」

特に仕事で用があった訳ではないらしい。

「A君のお陰で仕事効率も上がって、凄く助かっています。」

「私も、安吾さんご褒美くれるから好きです。」

二人の言葉に、太宰は興味深そうにAに近づく。
正面まで来ると立ち止まり、椅子に座ったAを引っ張り起こす。

「え、何ですか?」

「よし!Aちゃんもおいで。」

元気よくAの手を引っ張り歩き出す太宰。
Aは引かれるまま、太宰の後ろをついて行く。

「今日の仕事終わってるんでしょ?安吾も早く行こうよ。」

太宰の言葉に、安吾は頭を抑え、渋々といった様子で二人の後を追った。

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noel(プロフ) - 星猫さん» いえいえ、ありがとうございます (2020年4月14日 19時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - こちらこそすみませんです;;更新頑張って下さいね。 (2020年4月14日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - 星猫さん» お誘いは凄く嬉しいんですが、今年受験生でして…。コロナのせいで今が暇なだけなので、他の方と合作は厳しそうです。誘っていただいてありがとうございます。すみません!! (2020年4月13日 22時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - あの、私と一緒に合作しませんか? (2020年4月13日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
ぬい(プロフ) - noelさん» うれしいです! 楽しみにしてます (2020年4月11日 14時) (レス) id: 1f95c5a6f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:noel | 作成日時:2020年4月8日 17時

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