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かわいい部下とデートしてみた 3 ページ18

「中也さん、あれも!」

「花見に来たんじゃねぇのかよ…。」

桜並木に沿って、花見客目当てに出されている屋台。
それにまんまと釣られまくるAと、付き合わされる中也の両手には、焼きそば、唐揚げ、たこ焼き等々。
目に留まったものを全て買おうとする。

「これ以上持てねぇだろ。全部食い終わってから次を買いやがれ。」

一旦中也に止められたため、仕方なく何処か腰を下ろせそうな場所を探すが、生憎晴天の日曜日。
どこもかしこも花見客でいっぱいだ。

「困りましたねぇ。」

二人が立ち往生していると、やけに聞き覚えのある声が聞こえた。

「あれ、何処の美人さんかと思ったらAちゃんじゃないか!偶然だねぇ。お花見?」

「太宰さん!何やってるんですか?」

数人の女性に囲まれ、芝生に座っている太宰。
Aは中也の舌打ちを無視して、太宰に近付いた。

「勿論サボり。お姉さん達に飲まないかって誘われてたところ。Aちゃんもどう?」

白昼堂々幹部が仕事をサボって花見とは、部下はさぞ大変なことだろう。

当然の如くブチ切れるのは中也だ。

「ちったぁ働け、ぼんくら野郎!テメェ昨日も書類俺に押し付けやがって!」

太宰が中也の分の提出書に自分の物を混ぜており、それに気付かず、いつもより業務が長引いた。

中也の剣幕に、太宰を取り巻いていた女達は煙たがってその場を離れる。

「ちょっと、せっかく楽しんでたのに。だいたい、どうして君がAちゃんと着物デートなんてしてるのだよ。」

いつものように喧嘩ムードの二人。

「中也なんかと歩いてたって小さすぎて見失っちゃうよ。私と行こう、Aちゃん?」

差し出された太宰の手。
背後では中也が鬼の形相。

「言ってくれんじゃねぇか、もやし野郎。」

「事実だろう?帽子置き場。」

明らかに険悪な雰囲気に、周りにいた花見客がこちらを見つめる。
酒と桜に酔った者達にとっては、喧嘩すらもつまみになるのだろう。

Aが止めに入ろうとした時、背後から太宰を呼ぶ声がした。

「太宰幹部、早く来てください!仕事が進みません!」

抵抗も虚しく、そのまま部下に引き摺られて行く太宰。

花見客達もなんだ、とつまらなさそうに自分達の集団に引っ込む。

「暴れちゃダメじゃないですか。」

「悪りぃ。」

いつの間にか逆になった立ち位置に苦笑しながら、太宰が居なくなったことで空いた芝生に腰を下ろした。

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noel(プロフ) - 星猫さん» いえいえ、ありがとうございます (2020年4月14日 19時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - こちらこそすみませんです;;更新頑張って下さいね。 (2020年4月14日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - 星猫さん» お誘いは凄く嬉しいんですが、今年受験生でして…。コロナのせいで今が暇なだけなので、他の方と合作は厳しそうです。誘っていただいてありがとうございます。すみません!! (2020年4月13日 22時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - あの、私と一緒に合作しませんか? (2020年4月13日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
ぬい(プロフ) - noelさん» うれしいです! 楽しみにしてます (2020年4月11日 14時) (レス) id: 1f95c5a6f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:noel | 作成日時:2020年4月8日 17時

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