Episode109 ページ12
弟の死を再び実感して寂しくなったのか、過去にケリをつけた事で、心に空白感が生まれたのか。
様々な憶測で、今までにないほど頭が混乱している。
しかし、そうではなかった。
「お風呂に入りたいのですが、自分では脱げなくて。」
Aの言葉に、中也は我に帰る。
そうか、そうだよな。
焦ったぜ…。
いや、でも頼んでることは変わんねぇじゃねぇか!
ホッとしたのも束の間、問題は何も変わっていない。
明らかに振り回されている。
わざとではないだろう事がわかっているから、余計にタチが悪い。
「ダメでしょうか…?他に頼める人がいなくて。」
伺うように顔を覗き込んでくるA。
いつもより弱々しく、拠り所を求めているような瞳。
中也とて初心ではない。
多少なりとも経験はあるし、女に困ったこともない。
こんなに翻弄されるのは、こいつだけだ……。
その事に気付き、自然とため息が出る。
「わかったよ、すぐ行く。」
満足したように先に部屋へ戻るA。
その背中を見て、中也はブレスレットを掴み、Aの部屋へ向かった。
中也にも、これが初めての感情だという自覚が芽生えてきた。
Aが倒れた時
泣きながら知らない男の名を読んだ時
いなくなった時
男の胸に抱かれていた時
それが、特別な部下に対する所有欲なのか、俗に言う、恋というものなのか。
ポートマフィアに入ってから、人との馴れ合いを出来る限り避けてきた。
昔のようにならないように、いつ殺すか、裏切るかわからない相手に、妙な情を抱かないように。
そのせいで、Aに対する感情がわからない。
ただ、自分の手の届かない所へ行って欲しくない。
……今はそれで十分か。
答えはまだ出せない。
けれど、きっといつかわかる。
そう信じて、Aを必死に守るのだ。
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noel(プロフ) - 星猫さん» いえいえ、ありがとうございます (2020年4月14日 19時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - こちらこそすみませんです;;更新頑張って下さいね。 (2020年4月14日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
noel(プロフ) - 星猫さん» お誘いは凄く嬉しいんですが、今年受験生でして…。コロナのせいで今が暇なだけなので、他の方と合作は厳しそうです。誘っていただいてありがとうございます。すみません!! (2020年4月13日 22時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - あの、私と一緒に合作しませんか? (2020年4月13日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
ぬい(プロフ) - noelさん» うれしいです! 楽しみにしてます (2020年4月11日 14時) (レス) id: 1f95c5a6f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:noel | 作成日時:2020年4月8日 17時