検索窓
今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:43,817 hit

Episode54 ページ4

Aが意識を取り戻したという知らせに、太宰と森がすぐさま病室に駆けつけた。
 
「心配したんだよAちゃ〜ん。何ともなさそうで本当によかった。」

部屋に入るなり、医師の説明も聞かずAのもとへ直行した森の言葉に、Aはすみません、と頭を下げる。

「それで、記憶のほうは如何だい?」

Aは三人に向かって、夢の話を始めた。

寂しく、冷たい闇
鳴り響く怒号と悲痛な声
蛇の刺青
そして、男の子

しかし、あれほど鮮明だった筈の夢を、Aはすでに忘れ始めていた。

あの場所は何処なのか
叫び声は誰のものだったのか
あの刺青は何だったのか
男の子は誰だったのか
何故自分は泣いていたのか

そして、男の子の顔も

夢の中の『彼女』には全てわかっていたのに

焦って必死に言葉を繋ごうとするAの肩を中也が掴む。

「もういい、一旦落ち着け。」

Aの目元を中也が優しく拭う。

あれ、私いつの間に泣いて…。

「感情も不安定になっているようだね。Aちゃんには明日も仕事を休んで貰った方がいいだろう。」

その言葉にAは勢いよく顔を上げる。

今日だって休みを貰っていた上に、気を失って三人に手間をかけさせたのだ。
二日も休む訳にはいかない。

反論しようとするAを太宰が止めた。

「首領の判断は絶対だよ。それに首領は医者だ。言う事は聞いて。」

太宰の言葉に、Aも渋々頷くしかない。

「とは言え、一人で部屋に置いておくのは心苦しい。医務室は人の出入りも激しいしね。」

生憎、明日の中也と太宰は、任務に追われてしまっている。
幹部がそう簡単に休む訳にはいかない。

「そうだね、紅葉君なら普段から任務で外に出ることも少ないし、彼女に頼んでみよう。」

「姐さんなら俺らも安心です。」

森の提案に、中也も賛同した。

姐さん…?

Episode55→←Episode53



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
61人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

noel(プロフ) - あやねっちさん» 嬉しいです!!ありがとうございます、これからも頑張ります (2020年4月4日 18時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
あやねっち - 1からここまでよみました 最高でした更新楽しみにしていますね (2020年4月4日 16時) (レス) id: a393e3772d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:noel | 作成日時:2020年3月30日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。