◇ 第４話＊ピリピリスパイシー ◇ ページ7
今日は…正しくは今日も
影浦君は休みらしい。
ぽっかりと隣の席が空いている。
よく隣は空っぽなのに今日は特別その
余白が浮き出て見える。
たった一瞬、ほんの一時、話しただけ
なのに…。
その日は一日中ぼーっとして綾美の話も
うんうん、そっか、と素っ気なく
ぼんやりしたまま過ごした。
気付けばもう下校時刻。帰宅部な私は
用意を早々に済ませて帰宅した。
ぼーっと帰り道歩いている。
綾美とは帰る道が違うからいつもと同じ
帰り道。
「こんにちは」「…にちわ」
通りすがりの人の挨拶も適当に流す。
ボーダー。ボーダー入りたい、
本当にすごく入りたかった。
だけどでも、だけど。
…やっぱり、どうしても入りたい。
綾美のお節介が引き金に、どんどん
押し込めていた気持ちが溢れてくる。
気付けばもう自宅。
…当たって砕けろ!私はやれる!
そう言い聞かせて思い切り扉を開けた。
「た、ただいま!」
「おかえり〜」
急いで部屋に戻り鞄を置く。
気合いを入れるためエプロンを着て
おばあちゃんのいる居間まで行く。
「おばあちゃん、私ボーダーの試験
どうしても受けたい」
正座して真っ直ぐおばあちゃんを見る。
テレビを消しておばあちゃんも私を見る。
「Aがやりたいことならやらせて
あげたいんだけどね、お母さんが絶対
反対すると思わないかい？」
そう。実際反対しているのはお母さん
だけなのだ。
「わかってる、でも、どうしても自分で、
自分の力で家族を守りたいの。他人に、
ボーダーに任せたくない、誰でもない
自分の力で…!お願い、お願いします…!」
頭を深く下げる。おばあちゃんの言葉に
お母さんは弱いからおばあちゃんが
しっかり私の意見を支持してくれたら
ボーダーの試験を受けられる。
「そんなにやりたいのかい？やり遂げ
られるのかい？」
「うん、絶対にやりたいの。やり遂げたい」
おばあちゃんは一息吐いて、じゃあ今日
お母さんに頼もうか、と言ってくれた。
「ありがとう、おばあちゃん!」
ここまではいけるかもと思っていた。
重要なのはここから…お母さんが
帰ってきてからだ。
まだ私の中ではピリピリと香辛料…
ハーブか何かが渦巻いてるみたいな
緊張が走っている…。
◇ 第５話＊ピリピリスパイシー�� ◇→←◇ 第３話＊ふわふわシフォンケーキ ◇
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 67人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
幽々華(プロフ) - これ普通に好き！← (2020年7月12日 1時) (
レス) id: 1e7a7481f9 (このIDを非表示/違反報告)
ルピナス(プロフ) - 鵺さん» お返事遅れてしまいすみません!ありがとうございます!まさか褒められるとは思いませんでした…! (2016年8月1日 11時) (レス) id: 82e1e84f5b (このIDを非表示/違反報告)
鵺 - イメ画すっごく上手いけど？！ (2016年7月22日 23時) (レス) id: 864fc18fb6 (このIDを非表示/違反報告)
soyon(プロフ) - ルピナスさん» 返信遅くなりました。はい、これからも頑張りましょう！ (2016年3月29日 0時) (レス) id: 07f2e5561f (このIDを非表示/違反報告)
ルピナス(プロフ) - soyonさん» soyonさんもですか!?お互い負けずに頑張りましょう! (2016年3月28日 18時) (レス) id: 82e1e84f5b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ルピナス | 作成日時：2016年3月24日 15時
