◇白兎４羽目。 後悔◇ ページ33
俺はぼんやり支部までの道を歩いていた。
何であんなに怒鳴ったのだろう。
A、傷付いた顔してたな。
後悔と反省が脳内を巡り、廻っていた。
彼処まで傷付ける気はなかった、
傷付くとは思ってなかったんだ。
“何の関係だって無いんだからっ！”
あの時のAが、言った後に
まるで生きていないみたいな、生きる
気がないみたいな目をしたんだ。
……謝りに行こう。
すぐに、ちゃんと謝って訂正しよう。
俺は急ぎ足で来た道を引き返した。
Aの家に行って、謝ろう。
…………その後は？
そんな考えが頭をよぎった。
ピタッと石にでもなったみたいに足が
動きを止めた。
「はっ、はぁ、はっ……くっ……!」
前方でかなり呼吸も足取り乱れながら
走ってくる人がいる。髪型が違って
居たけど判った。……A。
ぐらりと彼女の体が倒れていく。
気付けば俺は彼女の方に駆け出していた。
しっかりと受け止めて気付いた。
頬に涙が伝っている事に。
「……ごめん」
乾いた声で、小さくそう言った。
取り敢えず、玉狛で栞ちゃん達に頼もう。
俺はAを抱えて玉狛まで急いだ。
帰って来た俺を見るなり栞ちゃんは
大慌てだった。オサムとチカもいた。
栞ちゃんはAをおぶると、チカを
連れて別の部屋に行った。
どうすれはいいかわからなくなった俺は
外の空気を吸いに屋上に行った。
暫くして、オサムが隣に来た。
「空閑、何があった」
オサムが静かな屋上で口を開いた。
「ケンカ、した」
俺らしくない声が喉を通った。
「謝ったのか」
横に首を振る。
「謝られたか」
横に首を振る。
矢継ぎ早に考える間もなく質問が
飛んでくる。
「反省したのか」
縦に首を振る。
「謝る気はあるのか」
縦に首を振る。質問が止んだので
俺は続けて話した。
「泣いてたんだ、アイツが……
俺がまず悪かったんだ、でも……
傷付いたんだ、嘘だったのには気付いて
たけど、言わせたのも俺なんだけど」
「仲直りするんだ、自分に悪い部分が
あると判っているならな」
「……あぁ、判ってるよ」
「逃げるなよ、空閑」
オサムはぽんと俺の肩に手を置いて
笑うと、屋上を出た。
あの一言は、まるで俺の心の中を
見透かしてる様だった。
「やれやれ、流石は面倒見の鬼だな」
未だに怯えている自分自身を嘲笑い、
もう一度空を見上げた。
……………………………………
このお話は修正以前では黒兎18羽目。
の後に捕捉という形でありましたが
移動し、修正を行いました。
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魅雹 - 黒兎十六羽目逃走｡ で泣きました。素晴らしい作品有難うございます (2018年12月7日 20時) (
レス) id: 8e02e0511a (このIDを非表示/違反報告)
神月幽暗 - あああ！す、すみません！SEであってました！聞き間違い・・・？うう、すみませんでした！！本当にすみません！！ (2016年8月29日 16時) (レス) id: 1c25bc45fb (このIDを非表示/違反報告)
神月幽暗 - はじめまして、幽暗です。第八話目のサイドエフェクトで間違いがあります。SEではなくSFです。私の小説もぜひ・・・。 (2016年8月28日 22時) (レス) id: 1c25bc45fb (このIDを非表示/違反報告)
ルピナス(プロフ) - 命瑠さん» はい!ちゃんと遊真君でますよﾆﾔ(。-∀-)ﾆﾔ (2016年2月5日 19時) (レス) id: 82e1e84f5b (このIDを非表示/違反報告)
命瑠 - リク消化ありがとうございます！…これの続きってやりますか？(wktk) (2016年2月5日 6時) (レス) id: c43154f71d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルピナス | 作成日時：2015年12月12日 20時
