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◆黒兎15羽目。 覚醒◆ ページ26

 
「う、うぅ……」

小さく唸りながら体を起こす。
寝ぼけ眼でキョロキョロ辺りを見回す。

ウサギイメージとかのものだらけの部屋。
そう、私の部屋。
いつもぼんやり過ごす私の部屋。

両親と夢葉との写真が入った写真たて。
その横には黒トリガー。
適当に放置したカバン。
ベットに肩肘をついて私を見る遊真先輩。
ハンガーにかかった制服と、
コートとかパーカーとかの上着。

「……おはよう」

「……おはようです……、っ!?」

私はやっとそこで意識が覚醒した。
まさか、まさかだ。

「ま、まさか……昨日から……!!」
「あぁ、泊まらせてもらった」
「〜〜!!!!」

焦りすぎて体温が上がってくる。
帰ってくれてよかったのに!
そわそわしていると先輩がゆっくりと
近付いてきた。

「!?」

ぐっと体に力が入る。
何なに何々ナニなに!?

「……何があった」

「……へ、……ぁ………え?」

そうだ、昨日、……昨日……。

私は昨日の事、私の行動や、昨日の
夢も思い出した。

「……ごめん、なさい」
「そんな言葉を聞きたいんじゃない」

ピクッとして肩が上がった。
空気が凍るみたいに冷えていった。

それほど気迫がある表情で、冷たすぎる
声で、私をしっかり捕らえていた。

「俺は」

冷え固まった空気を、冷たい声で先輩は
揺らした。

「“何かあったら呼んでくれ”、と言った」

確かに、言われた。
先輩は私の目をじっと見ていた。

『じゃあ、また何かあったら呼んでくれよ』

『はいっ!っあ、な、何かあったらですけど』

私はこの前の会話を思い出した。
先輩は再び口を開いた。

「それは、悩み事とか何でも話してくれ、
という意味だというのは伝わったのか?」

「は、はい」

でも何故、今そんなことを?

「…………なのに、
何で言ってくれなかったんだ」

「……え?」

「何で辛い事を言ってくれなかったんだ!」

少し大きな声で先輩は言った。
先輩は怒っていた。私は怒られていた。

「あ、あのっ、ご、ごめんなさ……」
「ごめんなさいごめんなさいじゃ
ないだろ!」

遂には大きく声を荒げて私を
怒鳴った。

「っ、ついこの前会って知り合いに
なった人間なんて信用できるわけない!」

口をついて最低な台詞が出ていった。
違う。何でいつもこうなるのよ。

「変に関わらないで!鬱陶しいの!
どうして私に近付こうとするのよ!
私と貴方は……」


ダメ。やめて。これ以上。これ以上は!






「………何の関係だって無いんだからっ!」

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設定タグ:ワールドトリガー , 空閑遊真 , ワートリ   
作品ジャンル:恋愛
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魅雹 - 黒兎十六羽目逃走。 で泣きました。素晴らしい作品有難うございます (2018年12月7日 20時) (レス) id: 8e02e0511a (このIDを非表示/違反報告)
神月幽暗 - あああ!す、すみません!SEであってました!聞き間違い・・・?うう、すみませんでした!!本当にすみません!! (2016年8月29日 16時) (レス) id: 1c25bc45fb (このIDを非表示/違反報告)
神月幽暗 - はじめまして、幽暗です。第八話目のサイドエフェクトで間違いがあります。SEではなくSFです。私の小説もぜひ・・・。 (2016年8月28日 22時) (レス) id: 1c25bc45fb (このIDを非表示/違反報告)
ルピナス(プロフ) - 命瑠さん» はい!ちゃんと遊真君でますよニヤ(。-∀-)ニヤ (2016年2月5日 19時) (レス) id: 82e1e84f5b (このIDを非表示/違反報告)
命瑠 - リク消化ありがとうございます!…これの続きってやりますか?(wktk) (2016年2月5日 6時) (レス) id: c43154f71d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルピナス | 作成日時:2015年12月12日 20時

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