#18 ページ20
食事を済ませ、それぞれが眠りにつく時間。
私は少しだけ絵を描こうと、スケブと鉛筆を取り出した。
さらさらと滑るように線を描いて、色を塗る。
出来上がったのは AtRの2人が笑顔で歌っているイラスト。名古屋公演での光景だった。
それをじっと見つめ、その時の思い出を振り返る。真冬も彼方も楽しそうで、幸せそうだったことをよく覚えている。
余韻に浸るのをやめて、スケブを片付けると楓がひょこっと顔を出してきた
「お姉、一緒に寝よー!」
『はいはい』
楓の部屋は白を基調としてシンプルにまとめられていた。
女の子らしい小物も置いてあって、可愛い顔をした楓に似合っていた。
「あ、そういえばお姉はさ結婚とかしないの?」
『結婚?』
「そうそう。お姉美人なのにもったいないなーって思うんだけど…」
『そういう楓はどうなの?楓、顔かわいいのに性格が大雑把すぎるから心配なんだけどな〜?』
「失敬な。私も一応彼氏いるよ。」
ほら、と目の前に差し出されたスマホの画面には楓が腕を組む優しそうな男性が写っていた。
どちらかというと少し無邪気さの残る顔つきだった。
「お姉、前は彼氏いたのに別れちゃったでしょ〜?ほら、彼方さん。私あの人がお姉の運命の人だと思ったのにー!」
『そうだね。私もそう思ってた時はあったけど、別れちゃったものはしょうがないよ』
苦笑いをしてそう返せば ぷくっと頬を膨らませて不服そうにする楓。
「それはそうだけどさぁ…。ねえ今、お姉彼氏いないの?」
『お付き合いさせてもらってる人はいるよ。ちゃんと』
「えぇ!うそ!どんな人?」
『ふふ、そうだねぇ…』
お付き合いしている人がいるといえば、目をキラキラとさせて楓はずいっと顔を寄せてきた。
名前は出さなかったけれど、センラさんである享さんのことを話した。
会社の先輩であること、京訛りが綺麗なことなど好きなところや尊敬しているところを伝えれば嬉しそうに楓は微笑む
「お姉が幸せなようで良かった…
その彼氏さん、いい人そうで私も安心したよ」
『うん、ありがとう』
「あ、私明日彼氏とデートなの忘れてた。寝ないと…お姉、寝よ。」
『はいはい(笑)』
楓のベッドの隣の床に布団を引いて、横になる
楓が照れ臭そうに笑って手を差し出してくる。
それをぎゅっと握って、おやすみ と呟くと
「おやすみなさい、お姉。
今度こそ幸せになってね」
と、楓は寝てしまった
私もそっと瞼を閉じた。
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雷亜 - 私って涙もろいんですよ(笑)一ページ 一ページ泣いて泣いて泣いて(笑) もうすごいですよ涙の量が((殴 (2018年4月7日 9時) (レス) id: e1e03b0ec4 (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - 読みやすいしキャラが掴めていてとても楽しく拝見させていただいています。好きです。 (2017年12月10日 10時) (レス) id: 9ac8f0bb45 (このIDを非表示/違反報告)
MiKU(プロフ) - 星華(´∀`*)さん» ありがとうございます!無事第1章が完結してこちらも嬉しい限りです…!そう言っていただけて私も頑張って書き続けた甲斐がありました!続編含めて頑張るのでよろしくお願いします! (2017年11月14日 7時) (レス) id: fb7ad52b3c (このIDを非表示/違反報告)
星華(´∀`*)(プロフ) - 1章完結おめでとうございます!もう…一気に読んだんですが…涙が…。すごく好きになりました!!続編楽しみにしてます!頑張ってください! (2017年11月13日 16時) (レス) id: 110a37d70c (このIDを非表示/違反報告)
MiKU(プロフ) - 唄葉さん» 唄葉さんありがとうございます!大好き、なんて言葉わたしにはもったいないです……!第2章でも頑張らさせていただくので、よろしくお願いします!ありがとうございました!! (2017年11月4日 16時) (レス) id: fb7ad52b3c (このIDを非表示/違反報告)
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