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サーモン。 ページ14




『へぇ!ここがさとみさんの家!』


先程とは打って変わってテンションが高いAさん。

元からこういう明るい性格の子なのだろう。
そんな彼女の姿を見た俺の心は弾んでいた。


今まで30分しか共に過ごせなかった大好きな子が
自分の家に泊まりに来てる。


こんなにも嬉しいこと、そうそう無いだろう。



「あ、夜ご飯何食べます?今日俺サーモンあるんっすよ」




親が買ってたけど消費できずそのまま出張だから
いない間に頑張って食べてくれと残してくれたやつ。




なかなか大きいものだったからそれを
自慢げに見せた。



『さーもん!』


あぁよかった、流石に無知すぎる君でも
サーモンくらいは知ってるよな。



「今から切りますけど小さい方がいいですかね?」



小柄な彼女が大きな口を開けてご飯を頬張るところなんて想像出来ない。


念の為聞いておこう。



そう聞けば うーん…と可愛く唸るのほんとにどうしよう。




リビングからキッチンまでやってきてひょこっと俺の背中から顔をだすのは狡い。



俺が昔飼っていた猫のような仕草だ。




『あー、さーもんって生か…』


「え?サーモンってお刺身だよ?」



はて、と首を傾げるのは可愛いが本当に無知すぎてこの子はどうやって生きているのかと唐突に不安になる。



いつから親無しで一人で暮らしてるの?
それは本当?それは俺を何かの罠に陥れる演技なの?




徐々に目の前の少女に不信感を抱く。
そういえば出会った時からこの世の何かではない
不思議なオーラを纏っていたからな…。




『あ、いや違くて、私焼いたお魚さんの方が好きなの!』



ビシッと手を高らかに上げてキラキラした瞳で
俺を見るAさんを見たらさっきまで抱いていた
モヤモヤなんか一瞬で吹き飛んだ。





お魚さんって可愛いなお前…!








純粋な少女は可愛い。


さっき普通じゃないとか馬鹿げた思考なんかしてごめんな。




「はーい分かりました!Aさんの分は焼いてあげますね〜!これくらい食べれる?」




『うんっ!』


……んぐぅっ!


胸に何かが突き刺さる。



俺の体は勝手に前倒しになって
可愛すぎてつい抱きしめてしまっていたようだ



「あっ、ごめ…」



『うふふ、大丈夫ですよ。それより鮭、焦げちゃいます』


「サーモンな」



ちょっと新婚さんみたいだ、
なんて浮かれたことは一生言わねぇ。



平気な顔して調理を進める俺も内心
心臓が狂ったように脈打っていた。

夕時。→←30分。



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作品ジャンル:恋愛
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眠民。 - 颯桜さんの作品は、涙が出るほど切ないお話が沢山あるけれど、でもその涙って美しいと思うんですよ‥(語彙力)今回のお話も泣きました!!笑 (2月8日 18時) (レス) @page36 id: 7e432fa76e (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - 余白の落書き。さぶさん» 神だなんて恐れ多い☺️楽しんで頂けて幸いです (2023年1月16日 3時) (レス) id: f6025f27a2 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - ネコ日和。さん» ありがとうございますとても嬉しいです😢‪🫶🏻 (2023年1月16日 3時) (レス) id: f6025f27a2 (このIDを非表示/違反報告)
余白の落書き。さぶ - え、神ですか……?神作をありがとうございます! (2022年8月19日 19時) (レス) @page35 id: 74c80fc40d (このIDを非表示/違反報告)
ネコ日和。 - 好きすぎて、題名の一部を名前にとりいれちゃいました。 (2022年8月2日 15時) (レス) id: 18b130b5d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:颯桜 | 作成日時:2020年5月8日 21時

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