ラップなんか出来ないので、拳で生き残ろうと思います 2【ヒプマイ】 (ページ9)

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探し人の真相ページ9

銃兎side

中王区が血眼になって探している女。

どんな奴かと思えば、予想以上に左馬刻が絆されているだけで

普通の少女、といった感じだった。

『そういや、何で遅れたの。なんかあった？』

左馬刻「こいつらが浴衣着てけだのなんだのうるさかったんだよ。

つかお前、浴衣着といていつもの髪型はねぇだろ。」

いつもの髪型、左馬刻と同じ色の髪を下ろしたままの姿。

俺には十分可愛らしいと思うが、どうやらこのヤクザは気に入らないらしい。

少女の…春原だったか。

春原の了承を得ずに、長い髪を緩く三つ編みにして

サイドアップでまとめていた。

『…お前、何でこんな器用なの。こっわ。』

左馬刻「てめぇは俺に妹居るの知ってんだろうが。」

『合歓ちゃんのヘアアレンジもしてたの！？めっちゃ見たい！』

銃兎「…左馬刻にここまで言える時点で、異常か。」

俺のこんな声が聞こえたのか、左馬刻と向かい合って話していた春原が

不機嫌そうな顔でこちらに視線を向けた。

『こちらこそ、初対面の貴方に異常だと言われる筋合いはないんですが。』

銃兎「これはこれは、すみません。失礼しました。」

左馬刻「猫被ってんじゃねぇぞ兎の癖に。」

銃兎「黙っててください左馬刻。」

『冷静に考えてヤクザと警察に関わりがあるのやばくね…』

左馬刻「お前常識あったんだな。」

『よっしゃ左馬刻てめぇ一発殴らせろ。』

理鶯「落ち着くんだ。」

今にも左馬刻を殴ろうとせんばかりに拳を振り上げた春原を

理鶯が後ろからとらえて阻止した。

あの理鶯に抵抗している。

なるほど、戦力になってしまうという点では

排除目的で中王区が追っているのなら頷ける。

理鶯「ここで騒いでは周りの迷惑になる。

境内に入ろう。」

銃兎「そうですね。祭りに託けて騒動を起こす馬…

頭のねじが外れてしまった人を取り締まる必要もありますし。」

『今この人馬鹿って…』

左馬刻「いつものことだろ。」

『やっぱ類は友を呼ぶんだな。』

やめろ左馬刻。春原の頭を鷲掴みにしてやるな。

どんなに言い訳してもお前がか弱い少女に手を出してるようにしか見えねぇんだよ。

警察的にしょっぴかないとまずい事になるだろうが。

それに、騒ぎになればあの御尋ね者の女を見つける輩もいるだろう。

…中王区に連れ戻す…か。

『左馬刻、りんご飴食べたい。』

左馬刻「ガキかよ。ったく…銃兎、理鶯。店探すぞ。」

理鶯「わかった。」

銃兎「はいはい。」

…左馬刻が納得して、手放すわけねぇな。