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浴衣という最強装備 ページ8

私は馬鹿か。いや馬鹿なのは自覚してるがそういうことではなく。

何故私は今、居住区シブヤから遠く離れたヨコハマの神社の鳥居の前で

何年ぶりかもわからない浴衣を着て人を待っているのか。

他でもない、あのヤクザとの言い合いの流れで

なぜか二人で夏祭りに行くことになったからである。

あえて言おう。どうしてこうなった。


『…まぁ、宿題手伝ってもらったし…一応。

つか遅い…もう待ち合わせ10分過ぎてるけど…』


久しぶりに着た小さく藤の描かれた淡い水色の浴衣を

桃色の帯で結んだその服装は、動くことを億劫にするほどに不便だ。

何かあったのか、それとも単純にすっぽかされたのか。

後者なら殺すが前者なら大問題なんだよなぁ…


『はぁ…探しに行くか。

えっと、とりあえず連絡…』


携帯を取り出した私を、大きな影が覆った。

誰かが私の前に立ったらしい。

正体を確認するべく、携帯から顔を上げると


左馬刻「…よぉ、待たせたな。」


『…おっそい。』


私から全力で目を逸らした、紺色の浴衣に身を包んだ左馬刻がいた。

何だこいつ。死ぬほど顔がいいな。

浴衣似合いすぎだろ。お前その姿で何人の女性を悩殺したんだ。


『…左馬刻。』


左馬刻「んだよ…遅れた理由なら…」


『お前、かっこいいな。』


左馬刻「はぁ!?」


『浴衣めっちゃ似合うじゃん!

かっこいい…!お前の白髪綺麗だし、紺色が映えるなぁ。

赤い眼がいつもより際立って見えて私すっごい好きだわお前の浴衣姿!』


左馬刻「…ッ…だぁ!やめろこの馬鹿!!」


『お前今日の宿題の件根に持ってんじゃねぇぞ!』


「おぉ…左馬刻を照れさせるとは、貴方中々やりますね。」


浴衣姿の左馬刻を素直に褒めちぎっていると

聞こえてきたのは、今日の昼に電話越しに聞いた声の一つだった。

声の主の方に視線を向けると

横に流した黒髪に、緑色の瞳。いかにも真面目そうな眼鏡をかけた男性と

何も言わない、ライトブラウンの髪の妙に体格のいい男性がいた。


左馬刻「照れてねぇわ!余計なこと言うなウサポリ公!」


『あぁ、貴方がウサポリ公さんですか。』


銃兎「初対面の貴方にそう呼ばれる筋合いはないのですが…

始めまして、私は入間銃兎。

警察をしています。以後お見知りおきを。」


理鶯「小官は毒島メイソン理鶯。左馬刻の仲間だ。

いつも左馬刻が世話になっている。」


完全にライオンに囲まれた子兎状態である。

まぁ…別に逃げるくらいわけないのだが

それよりも


銃兎「……」


入間さんの吟味するような視線が、痛い。

探し人の真相→←君がいた夏を遠い夢の中へ全力投球



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にゃーちゃん - 初コメ失礼します!とても面白いです!更新楽しみにしてます! (2021年7月10日 12時) (レス) id: 6c3b400c86 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天空の巫女 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/  
作成日時:2021年3月20日 21時

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