君がいた夏を遠い夢の中へ全力投球 ページ7
ナゴヤ帰省から数日後。
クーラーの効いた部屋の中で、私はとある人と通話をしていた。
『うぅ…ここが…何…?
ごめん、もう一回最初から教えて。』
左馬刻[またかよ!てめぇ…同じ問題で何回同じこと聞く気だ無能!
ったく…いいか、最後だからな。まず…]
電話越しに私に罵声を浴びせたヤクザ、碧棺左馬刻である。
獄さんの教えを無駄にしないために真面目に宿題をしていたところ
突如左馬刻からの電話の着信音が鳴り響いた。
一瞬無視してやろうと思ったが直後に
「出なかったら殺す」というシンプルかつ恐ろしいメッセージが来たので
光よりも早く応答した。
本題があるはずなのに宿題に付き合ってくれる辺り
こいついい奴だな?誘拐常習犯だけど。
『…あ、こういうことか。
こうだから…1-√3<x<1+√3!合ってる、左馬刻!?』
左馬刻[…せーかい。やっとか馬鹿野郎。]
『助かったよ左馬刻〜!
三郎くんに聞くにもあの子も宿題あるだろうし困ってたんだぁ。』
左馬刻[そりゃあのガキもこんなバカには付き合ってられねぇわな。]
『うるせぇな…ごもっともすぎて何も言えねぇよ…
で、宿題付き合わせといてあれだけど
左馬刻は何で電話してきたわけ。』
やっとか、と言わんばかりに舌打ちしてきた。
悪いのはこっちだが非常に腹が立つ。
左馬刻[…今日、18時。]
『はい?18時…って、なんかあったっけ…』
左馬刻[…ッチ。あ"ぁ"…やっぱいい。
柄じゃねぇんだよこんなの。]
『は?だから何があるんだよ!
別に大変なことでも、何かあるなら聞くよ。
宿題手伝ってもらったし。』
私の精一杯気を遣った一言に、左馬刻の声が返ってくることはなかった。
何事かと思っていれば、次に電話越しに聞こえてきたのは
左馬刻に対する、別人の声だった。
[馬鹿かお前は。一緒に夏祭り行こうって誘うだけだろうが。]
左馬刻[うるっせぇんだよウサポリ公!
大体、なんで俺様がこいつ誘わなきゃなんねぇんだよ!!]
[夏祭りの知らせを見て、「…あいつに、行く相手居ると思うか。」と
言い出したのは左馬刻だろう。]
左馬刻[ちがッ…ただ、俺様は…この時期に祭りにも誘われねぇ可哀そうなヤツだったら
笑ってやろうと…]
『だぁれが可哀そうな奴だクソヤクザ。』
左馬刻[てめッ…聞いてんじゃねぇぞ!
どうせ誰にも誘われてねぇんだろ!]
『ミュートにしてないお前が悪いだろ!?
あぁ、誘われてねぇよ!』
左馬刻[仕方ねぇから俺様が一緒に行ってやるわ感謝しろ!]
『望むところだボケ!!』
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にゃーちゃん - 初コメ失礼します!とても面白いです!更新楽しみにしてます! (2021年7月10日 12時) (レス) id: 6c3b400c86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天空の巫女 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/
作成日時:2021年3月20日 21時