ラップなんか出来ないので、拳で生き残ろうと思います 2【ヒプマイ】 (ページ43)

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偽りのない言葉をページ43

ダイスさんの強行突破のお蔭で

何とかげんたろーの家に入ることに成功した。

一応逃げられないようにずっと手を握ってるけど

げんたろーの顔が赤すぎるし俯いたままだしでそれどころじゃない。

『で、いろいろ聞きたいことはあるけど

まず何で会ってくれなかったの。』

夢野「……言ったでしょう。惨めになりたくないと。」

『その意味が分かんないんだってば。

なんで私とげんたろーが会うと惨めになるのさ。』

夢野「……」

『…話したくないなら、私から言いたいことを言わせてもらう。』

握っていたげんたろーの手をさらに強い力で握ると

一瞬げんたろーの肩が跳ね、徐に俯いていた顔を上げ

私とようやく目を合わせてくれた。

『…酷いこと、たくさん言って…ごめんなさい。』

夢野「…A。」

『記憶がなかった…なんて言い訳でしかない。

お前は恩人で、大事な友達なのに…酷いことばっかり言った。

いや、忘れたこと自体を謝りたかったんだ。

腕、痛かったよな…大丈夫？』

夢野「……違う。」

『…？今、何か言った…？

げんたろ……ッ…』

私が名前を呼びきる前に、げんたろーの手を握っていた方の腕を引かれ

飴村くんに会ったあの日の朝のように、げんたろーの腕の中に収められた。

こういうことするときは、コイツが嘘吐かずに

本心を話したくなる時。そうわかったのはつい最近だけど。

できれば、顔見て言ってほしいなぁ。

夢野「…違う、違うんだ。

俺にそんな大層なものを名乗る資格なんかない。

お前に大事な友達なんて言われる権利はないんだ。」

『…何で。』

夢野「何も知らなかった。理解した気になっていた。

足掻いて全てを失ったお前に、さらにそのどん底の中で藻掻けだなんて。

強くなれだなんて…馬鹿げたことを宣って、お前に無理をさせた。」

げんたろーに両親のことを話した覚えはない。

となると、あの記憶喪失の件の時に

山田兄弟にでも聞いたのだろう。

『げんたろー…無理なんかしてないよ…』

夢野「してるだろ！！

俺は、お前を助けたかった。

独りにしちゃいけない。傍にいてやらないと壊れる。

そう勝手に解釈して、勝手にお前の傍に居続けた。

そのせいで、お前は俺を守ろうとしてたんだろ…」

『それは、そうだけど…』

夢野「俺のためだけじゃなかったのかもしれない。

それでも、お前に強くなれといったのは紛れもない俺なんだ！

お前だって、誰かに守られたかったはずなのに。

泣きたかったはずなのに…何も、知らないで…ッ…

ごめんA…ごめんな…！」