ラップなんか出来ないので、拳で生き残ろうと思います 2【ヒプマイ】 (ページ37)

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新たな居住区ページ37

『もとはイケブクロに住んでたんです。

けど…ちょっと事情があって、家族と一緒に居るわけにはいかなくなって。』

初対面の人に話す内容ではない。

それに、いつまでもここにいるわけにはいかない。

当時中学生だった私にできるバイトは限られてるけど

何とかして住むところを考えないと。

夢野「帰れ…と言える様子ではなさそうですね。

住むところに当てはあるんですか。」

『ナゴヤにいるおばあちゃんに頼めば、部屋は借りられると思います。

まぁ、場所の当ては一切ないですけど。』

あのクソ野郎会わない場所、といえば中王区が最適なんだろうけど

…あの区域ができたことが、全ての地獄の始まりだったわけで。

そんなところに住みたいはずもなく。

『うーん…』

夢野「貴方、今いくつなんですか。」

『中学二年、14です。学校は最近行ってませんけど…』

夢野「高校進学はするんですか？」

『…元々うちの家庭環境は良くなくて。

そのときは、おばあちゃんが学費とかはどうにかしてくれるって言ってくれていたので

まぁ、できないことはないかと。

高校生になれば他にもバイトできるようになりますし、一応行きたいな…とは。』

何でこんなこと話してるんだ。

というか何で夢野さんはこんなこと聞いてくるんだ。

しかもそれでなんか考え込みだしたし

仕方ない、今のうちにおばあちゃんに連絡しよう。

『……もしもし、おばあちゃん。』

［どうしたのA。

貴方のお母さんから、しばらく家に帰ってないって…］

『…うん、実はね……』

正直、信じてもらえるのかは心配だった。

話している間は声が震えたし、何回泣きそうになったのかもわからない。

話し終わった頃には夢野さんの考え事も纏まったらしく

泣きそうになりながら話す私の背中を擦ってくれていた。

［…そう。わかったわ。

中学生で一人暮らしなんて、そう簡単にできることじゃないけど

そういうことなら、できることはするわよ。］

『…ありがとう。おばあちゃん。

まだ住むとこは決まってないし…高校生になるまで二年はあるけど…』

［お金のことなら心配いらないわよ。

ちゃんと働けるようになるまでは、支援はするし

賃貸契約も私がするわ。

…よく頑張ったわね、A。］

『…うん。…うん…ッ…ありがとう…！』

電話を切るころには、もう涙は流れだしていた。

夢野さんにみっともないとこ見せちゃったな…かっこわる。

夢野「でしたら、当てが見つかるまで

小生の家にいますか？」

流石に涙も引っ込んだ。