ラップなんか出来ないので、拳で生き残ろうと思います 2【ヒプマイ】 (ページ21)

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覚えのない噂です！！ページ21

独歩さんの家にお邪魔した、次の日。

一二三さんのご飯めっちゃおいしかったです。ありがとうございました。

とりあえず連絡先を交換したことを報告しておくね。

まぁ、今…

「い、いや…！やめて…！」

「え～こんな場所通ってるお姉さんが悪いよ～？」

「そうそう。大人しく俺らと良いことしようね？」

それどころじゃないんですけど。

なんで私がヨコハマに遊びに来るとこういう場面に遭遇するのかな。

女の人の嫌がる声が聞こえて走ってきてみれば

ガラの悪そうな男二人に女性が襲われてるではないか。

しかも、片方がマイクを持ってる。

これは…さっさと片を付けたほうがいいかもしれない。

というわけで、何も考えずに女性と男の2人に割って入った。

『おにーさん。女一人に2人で詰め寄るとか、ダサすぎません。』

「てめぇ…邪魔すんじゃねぇよ。引っ込んでろガキ。」

「いやいや、この子も結構可愛くね？」

「に、逃げてください！」

『逃げるつもりなら、最初から首突っ込まないですよ。

おにーさん、その腕潰されたくなかったら

今すぐどっかに消えてください。』

「威勢のいいガキだなぁ…大人なめんなよッ！」

…どうして忠告を聞かないのかな。

男の一人が放った拳が、私に届く前に

足を大きく振り上げ、回し蹴りで拳を弾いた。

弾いた勢いであの人吹っ飛んでったけど…腕、大丈夫かな。

『ほら、言ったじゃん。』

「凄い…！」

「お前…！…そうかお前、碧棺左馬刻のとこのガキか…！」

『ちょっと待て、今なんか聞き捨てならないこと言ったなお前。』

誰があのクソヤクザの仲間だ。

いや確かに、友達ではあるけれども。

傘下になった覚えはない。ちゃんとアイツには断った。

噂が独り歩きしたのか…歩くな、その場で止まってろ。

「ハッ…そりゃ普通にやりあっても意味ねぇわな。

じゃあ、これの出番か。」

そう言って、男はマイクを構えた。

しまった。さっきマイクの方をぶっ飛ばしてればよかったな。

というか、私あれ詳しくないけど…範囲攻撃とかだったりしない？

『ちょっとここから逃げたほうがいいかも…

ほら、私がこいつら止めとくのでさっさと逃げてください。』

「でも…」

『いいから…なんか、あのマイクはヤバい気がする。』

「わか、りました…警察、警察を呼んできます！」

女性が走り去ったのを確認して

男に再び向き合った時には、マイクの起動音が鳴っていた。

「おら、全部消し去っちまえ！！」

響きだした汚いリリックは、もう避けられない。