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ありがとうおばあちゃん大好きおばあちゃん ページ1

『…は?』


どうしてこいつがそんなことを言い出すのか全くわからん。

別に無理をしているつもりもないし

していたとしても、コイツにそれがわかるわけがない。

…まさか。


『…あぁそっか。お前、おばあちゃんに聞いたんだっけ。私の事。』


空却「…ばあさんは、拙僧の親父と仲がいいらしくてな。

時々うちに来ては、妙に暗い顔をしながら親父に何かを言ってやがった。

その時、決まって出てきたのがお前の名前だった。」


『おばあちゃんが…』


空却「最初はただの気の迷いで、ばあさんの話に耳を傾けてたんだが

聞いちまったんだよ。


お前と、お前の両親のこと。」


きっと、人っていうのはこういうことを言われると

それに関係する記憶が頭に浮かぶのだろうけど

私は、そんなものが一切ない。

記憶の封印って、こんなにも簡単だ。


空却「…別に拙僧は、お前の過去を言及するつもりはねぇ。

ただ、人には抱え込むにも限度があるもんだ。

溢れたものを無理に背負おうとすれば、器が先に壊れる。

その前に吐き出せ。その前に誰かにぶつけろ。」


『波羅夷…でも…』


空却「相手がいねぇなら、拙僧が受け止めてやる。

お前ごときに何を言われたところで、拙僧には痛くも痒くもないからなァ。」


そう言いながら笑うコイツの思考が理解できない。

今日が初対面だぞ。私はこいつに何もした覚えはない。

いや、むしろ煽られまくった覚えしかないが。

どうして、そんなことを言うんだろう。


『…どうして。』


空却「…?」


『どうしてそこまでしようとするんだよ。

私はお前にとってなんでもないだろ。』


空却「…逆に聞くが、何で理由がいる。」


『え…』


空却「拙僧はばあさんに話を聞いて、お前に会ってみたくなった。

会うんじゃなかったけどな。

会って、無理すんなって言ってやりたくなった。

会うんじゃなかったけどな。

それだけじゃ、駄目なのかよ。」


一言余計だ、そう言ってやりたいのに。

どうしてかな、コイツからは一郎さんと似たようなものを感じる。

真っ直ぐに、前を見て

相手を見ようとしている。


『…ふはッ。』


空却「…お前気色わりぃな。急に笑うなよ。」


『…ふふっ…あははッ!いや笑うだろ!

お前、良いこと言おうとしてるのに…余計な一言で台無しだしさぁ…ふははっ!

…でもまぁ、いいんじゃないの。そういうの好きだし。』


空却「…!…フッ…そうかよ。」


誰にも頼る気なんかなかったけど

…まぁ、こいつに鬱憤晴らし付き合わせるくらいなら

悪くないかもしれない。

保護者の皮を被った不良→



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にゃーちゃん - 初コメ失礼します!とても面白いです!更新楽しみにしてます! (2021年7月10日 12時) (レス) id: 6c3b400c86 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天空の巫女 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/  
作成日時:2021年3月20日 21時

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