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突き放す問題児 ページ23

燐音side


Aは、俺の知る限り

この世で、最も弱い生き物だ

遠くから見れば、崩れることの無いステージの上で

なんの不安もなく、踊っているように見える

だが、実際はそうじゃねェ

周りが、そう見えるように無理矢理固めたステージで

操る糸のまま、踊り狂う偽物の君主


弱い、脆い

俺が守らねェと、そんなことを思っていた


藍良「身の程知らずでもいい、俺はアイドルじゃない貴方が

この世でいちばん、大好きだよ」


この瞬間までは

俺は何も見えてなかった

こいつには、こいつを心から愛してくれるヤツがいるじゃねぇか

守ってくれるやつが、戦ってくれるやつが

ALKALOIDが、一彩が、いるじゃねぇか


『えっ…と…』


藍良「おれは、ちゃんとAさんの事見てる

離れていったりしない、むしろずっとそばに居たいくらい

だから、そんな泣きそうな顔しないでよォ…?」


『藍良…』


カノジョくんに視線が向くと

俺の服を掴んでいたAの力が緩んだ


燐音「…A、悪ぃな」


『え…』


その隙をついて、Aの体をカノジョくんの方へ押した

何とかカノジョくんが受け止め、Aに怪我はない

ま、そのつもりで押したから当たり前だけどな


藍良「わぁっ…と…な、何してんの天城燐音…!

危ないでしょォ!Aさんが怪我したら…」


燐音「A、お前の居場所は"俺"じゃねェ」


『燐音くん…?』


燐音「お前は、そいつみたいにお前を愛してくれるやつの傍にいるべきっしょ

"俺っち"みたいに、お前を突き放すようなクズよりもなァ」


俺は、お前を愛せない

運命がそれを邪魔するから

それでも、その運命に逆らってでも

"俺"は、お前に幸せでいて欲しい

だから、俺から離れていってくれ


『燐音くん…やだ、嫌だよ

離れていかないで、1人にしないで』


燐音「…っ」


1人じゃねぇだろ、そう言いたいのに

俺を求めてる、その喜びが俺の意思を阻む


燐音「…やーだね、だって"俺っち"」


もう、取り返しがつかなくしてしまえば


燐音「お前のこと、大ッ嫌いだからよォ」


否が応でも、この想いは断ち切れる


『…!…りんっ…ね、く…』


藍良「ちょっ…!!」


燐音「あーあ、清々したぜ

ずぅっと思ってた、"俺っち"の本心伝えられたからなァ

じゃあな、"結城先輩"♪」


これでいい、これが一番いい


でもよ、思っちまうんだよ


『…燐音くんっ…燐音…く、ん…!』


お前に、そんな絶望そのものみてぇな顔

させるんじゃなかったってな


燐音「…ホント…運命ってやつ、邪魔くせぇ…」

意気消沈の女王様→←身の程知らずな劣等生



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れいありす(プロフ) - 更新頑張ってください〜続き気になります! (2020年9月8日 16時) (レス) id: 8d837f466b (このIDを非表示/違反報告)
琉葵兎(プロフ) - 燐音の気持ちとは反対の「大嫌い」と言うところで涙腺崩壊しました…すごく素敵な作品で大好きです!!(*´-`) (2020年7月8日 10時) (レス) id: 60230182e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天空の巫女 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/  
作成日時:2020年6月29日 0時

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