lie.40 ページ45
手を引かれたまま中庭までやってきた
『天祥院先輩も此処までは来ないんじゃ…』
瀬名「…」
何も喋らない。やっぱり怒ってるんだ
瀬名「…あのさ」
『は、はい!なんでしょうか!!』
瀬名「何後輩らしく敬語なんか使ってんの、今更過ぎるんだけど」
声はちょっと笑ってるんだけど目が!目が笑ってない!
瀬名「Aちゃん、俺が言いたいことわかる?」
『わからないしわかりたくもn…ごめん!そんな怖い顔すんな瀬名泉!』
瀬名「あんたさぁ…普通に考えて分かんないの?
あの状況で一回放置した俺も悪いけどさ、天祥院殴ってでも逃げるべきでしょ?
なんでそうしなかったの?俺が来なかったらどうなってたかわかってんの?」
『病人殴っていいわけないだろ!』
瀬名「倒れたのは演技だってわかったんだよねぇ」
『…はい』
なんかいつも以上に圧が凄いんだけど
さっきの天祥院先輩より怖いんだけど…彩斗助けて
瀬名「俺はね、昔あんたの幼馴染を守れなかった。蓮も壊して、俺の周りには何も残らなかった。
だから、もう何も失いたくない…ゆうくんも、Aちゃんも」
『瀬名泉…』
瀬名「アンタを失ったら王さまはまたどうにかなっちゃうだろうしねぇ
ちゃんと自分のこと考えて、俺を利用したっていいから」
これは怒ってるんじゃなくて、心配してるんだ
…もし私まで壊れたりいなくなったりしたら
……こいつはどうなるんだろう____なんて、考えちゃいけないんだろうな
『お前を利用したりなんかしないよ
私は自分の事ばっかり考えてる。だからお前を嫌う、自分勝手な理由でね
お前は私の事なんか考えなくていい。レオとかゆうくんとか…最優先は自分の事を
ずーっと考えていればいいよ…それでお前の自分勝手な理由で私を嫌ってくれ』
瀬名「は?…何言って…」
私の言葉の意味が分かっているのかはわからないけど、戸惑っている
『お前にとって私がどんな存在かわからないけど、お兄ちゃんに関する記憶を嫌でも呼び覚ましちゃう存在なのは確かだ
お前がわたしに苦しんでほしくないと願うなら
私も泉くんに苦しんでほしくない』
お兄ちゃんのことで苦しんでるなら、私のせいで記憶が蘇っちゃいけない
最初から気づいていたはずなのに、どうしてここまで関わったんだろう
私はこいつに関わっちゃいけないんだ
『…明日、お前に曲を渡す
これが、お前に贈る最後の曲で
ソロライブが、お前のために作る最後の舞台だ』
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作者名:天空の巫女 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/
作成日時:2018年11月13日 18時